立海

□dipendente-SIDE:niou-
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この作品は「dipendente」の仁王視点の話です。
なので「dipendente」を読んでからの方がいいかもしれません。

気になる方はまずあちらからお読み下さい。





























「っ…うぐっ…あぅっ」




気付いたら目の前は赤、赤、赤。





『ま…るい…?』


「ゲホッ…な…に?」




赤は動いてこっちを向く。


そしてそのとき初めて気付くのだ。









ああ、





またやってしまったんだって。
















<dipendente-SIDE:niou->















丸井と俺がこんな関係になったのはいつ頃からだったか。

……たぶん中二の秋頃だったっけ。



俺は中一の頃から丸井が好きだった。最初は友人的な意味だと自分でも思っていたが、丸井が自分以外の人間と話すときに生まれる感情は嫉妬ばかり。この時、中1にして自分は丸井を恋愛対象として見ていることを自覚した。もちろん相手が男だっていうのもわかっていたけれどこの想いは止められなかった。

勿論、中二になってもそれは変わらずに…。



そんなある日、丸井と女子が仲良く話しながら歩いてるのを見たら頭が真っ白になった。

初めて感じる今まで以上にどす黒い嫉妬。



…その日のことはあまり覚えないけど気付いたら夜中の3時だったのを覚えている。
…そして自分の目の前が真っ赤に染まってたことも。


傷だらけの丸井と刃物を持った俺と真っ赤な自分の部屋の床。
でもそのときの俺は一切この状況に覚えがなかった。

焦りと自分への恐怖の中で、俺は急いで丸井を手当てした。
幸いに傷は全体的にそこまで深くなく消毒をして包帯を巻くだけで済んだ。

起きたらなんて言われるんだろう…良くて軽蔑、悪くて警察…などと不安になりながらも、次の日は学校を休んでずっと目覚めない彼を看病していた。
ちなみに俺の家族は旅行でいない。その分自分一人の力で精一杯丸井にできることをした。



時計の短針があれから一周回って8を指すころ、丸井は漸く目を開けた。




「……ここは…?」

『丸井!
どこも痛いとこないか?』

「…」


『…丸井?』




俺を見て黙る丸井。


やはり俺を嫌悪するか?…当たり前だな。


、と思った瞬間、予想がけないことが起こった。




「におっ…」




丸井に抱きしめられてる…?




『…丸…井?』

「おれっ…仁王が望むなら今日みたいになっていい…!
これからも…ずっと」

『丸井、よくわからないんじゃけど…とりあえず落ち着きんしゃい』



話が読めない。どうなっているんだ。
落ち着いて話を聞こうにも彼は俺を振り切るように話し始めた。




「…俺は罪滅ぼしがしたいんだ」


『罪…滅ぼし?
なんの?』


「だって仁王は、

あの女のことが好きだったんだろぃ。
なのに俺、仁王が彼女のこと好きってわかってたのに彼女を…俺仁王の親友のくせに…横から入って仲良くなろうとした…だからせめてもの罪滅ぼし」





違う。



違う違う違う。





俺が好きなのはお前だ。

なにを勘違いしてるんだ。






…でもこれは使えるかもしれない。


ある意味これを口実にすれば丸井を俺のモノにできる。
ずっと丸井と一緒にいることができる…。




「ホントごめん…ごめんな…」


『そんじゃ丸井。明日から…』






臆病な俺は、




いつのまにか






『俺の"玩具"になりんしゃい』









愛を忘れてしまった。



END
 

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