四天宝寺

□約束
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部活が終わって静まった部室に長椅子に座る二人の影があった


外はもう暗く、部室の明かりはとても目立っている





先生にバレないか心配だった俺はカーテンを閉め、再度同じ場所に座りなおした





「…けんやさんけんやさん」




光は甘えるとき、俺の腕に擦り寄りながら猫撫で声を出す


そんな愛おしい姿を見てなにもしないほど俺はへたれじゃない
俺は光の前髪を上にあげてそのまま額にキスをした

くすぐったいのか光は目を細めそのまま俺の腕に顔を埋めた




『ん?今日は甘えたさんやな…どうしたん光』


「けんやさんけんやさん俺ね…」


『ん?』


「もっとキスしてもらいたいねん」




少し顔を赤らめながら笑う光は可愛くて綺麗で…俺は光を強く抱きしめた




「謙也さん…くるし」


『悪い…やけどあともう少しだけこうさせてくれや』




もう少しで俺は卒業


そうなると休みの日に会えるか会えないか…

つまりこうやって抱き合う時間もあまりない




「…謙也さん?」


『あぁ…悪い……光、ちょっとええか?』




光は俺の腕の中で小さく頷いた




「光」


『なんですか?』




…なんか変に緊張した俺はいったん間をおいてちょい深呼吸した


そして光に目を合わせながら口を開いた




『光も俺め高校卒業したら…その…



一緒に暮らさへん?』




案の定、光は目を見開いて固まった



…確かに自分でもいきなりすぎると思う

しかも高校卒業なんてまだまだ先の話だ




だけど先に約束したかった…ただそれだけ

…なんだか婚約指輪を渡している気分になるな…





「謙也さん!!!」




…これはちょっと予想外の反応だった



光は勢いよく俺に抱き着いた

俺も応えるように光の背中に腕をまわす




「謙也さん…絶対っすよ
忘れてたは無しやからね」


『ああ、絶対忘れへん
約束や』





俺らはそのまま誓いのキスを交わした
















<約束>














「謙也さん」

『ん?なんや』

「時間やばいっすわ…」

『Σ』





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