B×F
□名
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Belphegor SIDE
只、怖かった。
お前が消えるのが。
俺の記憶の中から消えて無くなってしまうのが。
捨てた事実が音声になって鼓膜を震わせる。
苛々して、どうしようもなくて。
広い集めた嘘の中に体を埋めた。
「あっ、…あぁ!!せんぱ…ベルセンパ…イッ………!」
「っ…」
「あっ、あっ…、」
「なあ…?フラン」
「んっ…え…?」
「殺してい?」
「 ………」
Fran SIDE
その言の葉は、決して驚愕する事も無い一言。
覚悟は…していた。
今ミーの上で静かに泣くこの人がミーの消失を恐れていた事、そして愛が凶器に替わる瞬間、全て知っていた。
ゆったりとミーの体を持ち上げ、大切そうに包んでくれる。
大きな掌が震えていた。
「なぁ…?」
耳元で返答を求められる。
ぞくり…と肩が揺れた。
センパイの肩に頭を埋めたまま、震える身体を抑えて云う。
一言、この口で。
「殺して」
本望だと云えばきっと嘘になってしまうが、
幸せかと問われれば曖昧な声でYESと云えるくらいの幸せが、確かに其処にあった。
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