F×B
□『旬』
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テーブル越し、向かい側のソファに座るセンパイ。
前屈みになって長くて細い指をクロスさせたままこちらを見る。
「何ですかー?」
「いや、別に」
「勝手にジロジロ見ないで下さい、不愉快ですー」
…?
いつもならすぐナイフが飛んでくる筈なのに飛んでこない。
軽く強張らせた体から力を抜き、そっとセンパイを見る。
「…!?」
センパイは姿勢を崩さないままこちらを見ていた。
密室の中、風で揺らぐ髪の毛も無く、窓がカタリと揺れるだけ。
薄暗くなってきた外に比例して暗くなりつつあるミーの部屋の中で、センパイがピクリともせずミーを見詰めている。
「生きてるな、お前」
「…?」
少し和らいだセンパイの表情に疑問を抱きつつも答える。
「生きてますよ、ここに」
「うん、」
…?
訳が分からない。
その感情を纏ったミーの表情に気付いたのかセンパイが言う。
「死体ってさ、すげーキレイなんだ」
「…だから生きてるミーは美しくないと?」
「ちがくて、その反対だよ。
お前は、生きててもキレーだなって。」
ベルセンパイは席を立つ。