デレ栄純シリーズ
□ラブラブマフラー
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高校にあがって、
東京で寮暮らしを始めてから最初の冬
実家から冬物が送られてきた
*
「御幸ぃ〜」
その日届いた荷物の中に入っていたあるものを抱えた沢村は、御幸を探して寮内をチョロチョロしていた。
「あれ〜?御幸ー!!」
終いには叫びだすが見付からない。
お風呂は別だったけど、夕飯は一緒に食べたし、その後部屋に戻ったと思ったのに。
(当然御幸の部屋は訪ねたが、いつも通り他の部員の遊び場になっていて御幸の所在はわからなかった。)
完全にお手上げ状態だ。
(どこいったんだよ〜)
沢村は自販機の前のベンチに座って空を見上げた。
もう吐く息が白い。
(…あ、部室…)
御幸は時々部室にこもってスコアを見る。
大抵は部屋がうるさすぎる時だけれど。
一度思いついてしまえば沢村の足は自然とそちらを向く。
たどり着いた部室で、窓からそっと覗けば真剣な顔で机にむかう御幸。
(…邪魔しちゃ悪いよな)
沢村は部室の入口の脇にそっと腰を下ろした。
そのまま先程と同じように空を見上げれば、今にも零れ落ちそうな星がきらきらと光る。
沢村の実家の長野ではもっとたくさん見えるだろうが、冬の澄んだ空気の中なら東京でも十分見える。
一体どれくらいの時間が経ったのだろうか。
「栄純?」
自分の名前を呼ばれて沢村は我にかえった。
「なにしてんの、お前。」
部室から出てきた御幸はこの寒空のした薄い上着だけで外に座り込んでいる恋人にぎょっとする。
慌ててその細い身体を引き寄せれば想像以上に冷えきっていて。
「投手が肩冷やすな、バカ。」
御幸は己の体温を移すかのように沢村を抱きしめた。
「…ごめん。」
謝りながらも沢村は御幸の腕の中でクスクスと笑っている
「…………何笑ってんの」
拗ねたような声音の御幸に沢村はさらに楽しそうに笑う
悔しくなったのか、御幸が力を込めてぎゅうぎゅうと抱きしめれば沢村は観念したようで口を開いた。
「あんな、今日家から冬物が送られてきたんだ」
「うん」
「で、その中にこれがあった!」
これ、と言って沢村が見せたのは先程まで大事そうに抱えていたモノで。
「これ、ってマフラー?」
「うん!」
「いや、でも長くないか?」
沢村がびろーんと両手でひろげたソレは裕に4mはありそうだ。
ああ、でもマフラーに埋もれる栄純も可愛いだろうな、なんて頭の片隅で考えたことは御幸だけの秘密だ。
「俺が頼んで編んでもらった!!」
そんな御幸の心の内などつゆしらず、沢村はニコニコと嬉しそうに説明していく。
それを楽しそうに見つめていた御幸だが、不意に沢村が俯きマフラーを抱きしめた。
そしてそのまま視線だけを御幸に向ける。
「……あのさ、御幸、…お願いがあるんだけど。」
身長差故に必然的に上目遣いになるこの状態で、お願い。御幸が断れる訳がない。
「なに?」
「あの、えっと……」
「うん?」
「ま、マフラーなんだけど、……いっ、一緒にまか…ない…?」
「え、」
「み、御幸と一緒に巻いてみたくてっ、母ちゃんに頼んで、長いの編んでもらった、んだけど…」
「………。」
「っあ、や、やだったら、別に…っん、」
沢村の言葉を遮るようにして御幸は沢村に口づけた。
そのまま狭い咥内を存分に堪能し、軽いリップ音を残して離れる。
「んっ、はぁっ///な、に?」
「栄、マジで好きだ。」
「うぇっ!?///」
「本当に愛してる」
「う、ぁ…///……ぉ、れも、かず、やのこと……大好き///」
沢村の答えに満足したらしい御幸はもう一度軽く沢村に口づけ、ニッコリと笑った。
「マフラー、毎日巻こうな。」
「!、うんっ」
○ラブラブマフラー
(二人で使えばぬくもりは2倍)
☆翌日
「っんだ、てめぇらそのマフラーは!!!!」
「おう、はよ倉持。」
「はよ、じゃねーぞこの変態!!」
「栄、大丈夫か?寒くない?」
「平気///」
「おはようごさ…ぃ……!?」
「あ、春っち、おはよう!」
「お、おはよう栄純くん…」
「おう、小湊、てめぇからもなんとか言ってやれ」
「あ、く、倉持先輩おはようございます。で、これどういう状況ですか?」
「知るか。俺が聞きたい。」
「ですよね……っていうか御幸先輩がいつにも増してうざい…ボソッ」
「ヒャハハハっ結構言うな、小湊っ!」
「ほーら栄、俺の胸に飛び込んでくればもっとあったかいよvv」
「っていうかてめぇらはいい加減にしろ!!!!!」
title by ときめきシンデレラ
end.
うわ、もー最後のほう意味わかんないですね;
何はともあれ読んでいただきありがとうございました!