デレ栄純シリーズ
□プレゼントには俺をあげる!
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俺、沢村 栄純は今、一世一代の大勝負に挑みます。
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勝負の内容は至って簡単。
『恋人兼先輩の御幸 一也を喜ばせる』
それだけだ。
そもそも何でこんな話になっているかと言うと…
話は2、3日前に遡る。
「おい、沢村。」
部屋でゲームに夢中だった倉持先輩がいきなり話し掛けてきた。
「なんすか、先輩。」
「お前さー御幸の誕生日知ってるか?」
質問の内容も唐突だった。
「もちろん!!明後日、っすよね?」
大好きな恋人の誕生日くらい知ってて当然だ!
「おー」
自分から聞いたくせに倉持先輩はなんだか不機嫌そうだ。
「?かず…御幸センパイの誕生日がどうかしたんすか?」
「あぁー、………っし、沢村、俺と勝負しろ。」
「はぁ!?」
こうして俺と倉持先輩の勝負が始まった。
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なんでこれが一世一代の大勝負かって?
なんせ相手はあの、倉持先輩なのだ。負けたらバツゲームがない訳がない。
で、そのバツゲームの内容が…
『今後一切、寮内で御幸と恋人同士の接触をしない』というもの。最初は『イチャイチャしない事』だったのだが、そんな事していない、と主張したら無言のタイキックを喰らった上で、このバツゲームに決まった。(ちなみに当然の様に拒否権はなかった。)
御幸と一緒にいれないのは絶対嫌なので、負ける訳にはいかない。だって御幸と1日だって離れたら俺は寂しくて死んでしまうに違いない。
「んーでも何あげたら喜ぶかなぁ…」
御幸に似合うもの…やっぱカッコイイ服とか?…ありきたりだよなぁ…。甘いもの…は得意じゃないし、う〜ん……
「…難しい」
「何が?」
「は、春っち!?」
どうやら考えがただ漏れだったらしい。
「何が難しいの?」
相談、してみるのも有りだよな。
「実は…」
事情を話すと、春っちは暫く俯いて何やら呟き始めた。
「正直、倉持先輩を応援したい…。いや、でも、栄純君が悲しむのは見たくない……兄貴に相談、は駄目だ。絶対ややこしくなる……」
「春っち?」
流石に心配になって声を掛ければ、春っちはパッと顔を上げニッコリ笑った。
「あのさ、栄純君。いつも御幸先輩が、欲しいって言うもの思い出してみたらどうかな?」
「御幸が、欲しいって言うもの?」
「それが一番いいと思うよ。」
そっか御幸が欲しがってるものか。なるほど。
「わかった!!サンキューな、春っち!!」
「どういたしまして。頑張ってね、栄純君。」
そう言うと春っちは行ってしまった。
えーと、御幸が欲しいって言うもの……
『栄純、………』
『…栄…、ーー…が欲しい…』
『……栄、好きだよ。………お前が、欲しい……』
「っ!!!!/////」
は、恥ずかしいシーンを思い出してしまった///
み、御幸が欲しいのって、俺……?
え、じゃ、じゃあ俺から、さそ、誘ったりしたら……///うわゎ、は、恥ずかしいっ!
うでもでも負けられないしっ。
「よ、よし!決めた!!」
うん、せっかく春っちにアドバイス貰ったんだし!!
えと、じゃ明後日の夜に呼び出すとして…
あ、でも一応プレゼントも用意しようかな…
その日から2日間、授業中は全て上の空だったのは言うまでもない。(辛うじて練習中は意識が野球に向いていた。)
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そして、遂にやってきた御幸の誕生日。
一日中女の子からのプレゼント攻撃を受けた御幸は、午後の練習の時にはグッタリしていた。(一人一人丁寧に断ったらしい。)
そんな御幸が、練習後からいきなりかなり上機嫌になった。そりゃ、もう周りの先輩達が揃って心配する位に。
「な、なぁ、御幸、なんか良いことあったのか?」
「ん?あぁ、あんなー倉持から誕生日プレゼント貰ったんだよ。二年間つるんでっけど、初めてだよ。」
はっはっはっ、遂にアイツも俺の有り難みがわかったか、なんて御幸は笑ってるけど、俺は笑えない!!!倉持先輩は一体何をあげたんだ!!?こ、これはヤバい!!
と、とりあえず今夜の約束を取り付けないと!!
「み、御幸ぃ!」
バツゲームの事を考えたら泣きそうになって、慌てて御幸の練習着裾を引っ張った。
「何、沢む…ら?」
「あの、その、きょ、今日の夜!飯の後、空けといて!!///」
うぅぅ顔が熱い…。御幸の顔が見れない!俯いて自分のつま先を見詰めていたら、頭をくしゃくしゃってされた。
「もちろん、で、俺は何処に行けばいい?」
降ってきた言葉に顔をあげれば、優しく笑った御幸と目が合った。
「あ、こ、校門のとこ!!///」
「外行くのか?」
コクコク頷いて答えれば、りょーかいって言ってまた頭を撫でられた。
正直、そっから校門で御幸に会うまで自分がどうやって過ごしてたか、全くわからない。
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「悪い、栄純!待ったか?」
「ううん、俺も今来た。」
「そか、それで何処に行くんだ?」
頑張れ、俺!こっからが本番だ!!試合でマウンドにいる時よりずっと緊張している。
「コンビニの先にある公園っ!」
「ああ、オッケ。じゃ行くか?」
コクンと首を縦に振る。
でも、その前に…
「み、御幸!」
「ん?どした?」
「あの!……手!手、繋ぎたぃ…」
「っ!…喜んで。」
一瞬驚いた顔をした御幸だったがすぐに笑って、俺の右手をギュッと握った。
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他愛のない話をしながら歩く内に目的の公園が見えて来た。
「御幸、あのさ、先に行ってあのベンチで待ってて?」
ベンチを指差しながら頼む。
「なんで?」
「い、いいからっ!////」
当然の疑問を無理矢理抑えて見上げたら、御幸はちょっとだけ苦笑して、早く来いよってベンチの方に歩いて行った。
それを確認して、俺は昨日買った赤いリボンを左腕に巻き付ける。(プレゼントを探しに行った店で『プレゼントはわ・た・しvv』というパッケージで売ってた。)
これでよし。じゃ、じゃあ後は御幸のトコに行くだけ!!
一度深呼吸をして俺は御幸の待つベンチに向かって走り出した。
「御幸!」
「栄じゅ……!」
名前を呼んで、顔をあげた御幸の胸に飛び込む。
「た、誕生日!おめでとう!!///」
○プレゼントには俺をあげる!
(一生大事にしてくれる?)
「……栄。」
「ん?//」
「これは『プレゼントは私vv』って事だよな?」
「ぅ、うん///」
「はぁ〜マジでか。」
「や、やだった?」
「まさか!!ヤーバイ嬉しいvv」
「く、倉持先輩のとどっちが嬉しい?」
「倉持?ああ、そんなの栄に決まってるよ」
「よ、良かった!!」
「なんで、倉持?」
「何でもない!御幸!ホントに誕生日おめでとう!!」
end.
む、無駄に長い;;
倉持先輩のプレゼントは隠し撮り栄純の寝顔セットとかです。きっと。秘蔵コレクション注ぎ込んだのに負けた、という…。
えーと、この続きは明らかに裏に入りそうなので、需要があったら書こうと思ってます。
ご希望などありましたらお気軽にどうぞ〜
ここまで読んで頂きありがとうございました!!