らむ
□人形遊び
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私は人形が好きじゃない
それじゃぁ嫌いってことになるけど
その一言だけでは物足りない、なんというか、怖いというか。
関わりを持つのが嫌だった
なんだろう、小さい頃は普通に赤ちゃんの人形で遊んでいた記憶はあるのだが
でも、その頃の私も
好きで人形遊びをしていたわけではなかったような気がする
記憶を探って、人形と遊んでいた自分を思い出してみるのだけど
嬉しそうに人形と戯れているのではなくて
横たわっている人形の目を
ただじっと見下ろしているだけだった
自分と目が合うのかどうかを試していたのだろう
私の記憶によると目は合わなかった。
まぁ、当たり前なのだろう
生きてないのだから
だから気に食わなかった
自分と同じような体があるのに
その目には何も写らず
その耳には何の音も入らないのだ
見つめても見つめ返してはくれず
喋りかけてもなにも返事をしてくれない
人形に対しての第一印象は最悪だったのだ
普通の子はそんなこと気にせず、話しかける対象ができただけでいいのだろうが
私にとっては何の役にも立たないものだった
まぁ、しばらくは人形なんて関わる必要もなく年月が過ぎたが、
結婚して女の子が生まれて何年か経った頃、
娘が言い出したのだった。
「今度のお誕生日、お人形が欲しいの」