彼の話を聞く

□ない!
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……ない。


ない!

いくら探しても
胸の鼓動が見つからない。

帯"とれた!おっことしたんだ!!"

床に頭を押し付けて"鼓動"を探す。
枕の下から受話器の裏まで。

さんざん探しているけれど,
それ以前に重大な
問題が1つ。

帯"どんな形なのか知らない…"

丸いのか,四角いのか。
それとも星形かな?

マスターのは,
どくん どくんって
動くから,きっと生き物なんだろう。



生き物なら,

帯"もしかしてここで死んじゃってるのかなぁ"

帯"愛想尽かせて出ていっちゃったのかも"

胸に手を押しあてるが,
何も感じない。


帯"どうしよう,やっぱり無くしたんだ"

落ち込みかけた時だった。


帯"マスター,どうしよう"

“よしよし。どうしたの?”
って頭を撫でてくれた。


―どきん,どきん…―



帯 " あっ!!! "


胸を押さえた。


最初から,ずっと
ここに
あったんだ。


帯"ありました!"


マスターに
ぎゅうっと抱きついた。


あなたにも
聞こえましたか?


―どきん どきん―

って,
“ここにいるよ”って,


言ってる気がしたんです。



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