GOD DIVA

□出発
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翌日、

俺は満留にたっぷり一時間、説教を食らった。


〜♪〜




「何で宣戦布告なんてしたんや!タダでさえ堅いガードをさらに堅くすることに
なるんやで!」

「だーかーら、悪いっつってんじゃねーか!」

「誠意がこもってない!」

「ハイハイすいませんでした!」

「頑固!」

「単純!」


言い争いを初めて、早三十分。
俺も満留も息があがるほど、声を荒げていたことに気がついた。
(そして近所迷惑なことにも…。)


「…ったく。無駄に体力消耗させんな!」

「俺だって、どんだけ頑張った思うてんねん!五時間やで五時間!ずーっとパソコンの前に座っとってみぃ!」

「それは…悪かった」


わざと俯いて言えば、満留がたじろいだ。
ケッ。単純馬鹿が。


「あ、いや。俺も言い過ぎた…。ごめん…」

「おぅ。んで、五時間の収穫は?」

「ん。って切替え早っ!」

「人間切替えが大事!」

「何誇らしげに言うてんねん!」

「いいから早く。収穫」


満留は「うぅ…」と情けない声を出すと、渋々俺に数枚の資料(五時間の収穫)を手渡した。


「なんだこれ?『巨閥会(キョハツカイ)』?」

「うん。ちっと社長のPCハッキングさせてもろてん。
どーやらアイツが裏で立ち上げた組織やて。コレの働きで社長まで登りつめたんやろな」

「だろうな。大方、部下は全部ソッチの筋の奴等だろ」


俺はそう言い切ると、ふと浮かんだ疑問を口にした。



「くっつきすぎじゃね?」


俺が睨むと、満留は「風邪気味かな〜。寒いわぁ」といかにもな嘘をついた。
風邪の奴がタンクトップに半ズホン姿でアイスなんか食うかばかやろー。と心の
中で罵る。


「ちなみに怜ちゃん看病とか…「するか阿呆」ですよね
ー」


即答。

満留はしょげて、部屋の隅で膝を抱えている。


「あー、オニーサン。人ん家でキノコ栽培すんの、止めてくんない?」

「…」


無反応。

俺はワザと大きな溜め息をつくと満留に歩み寄り、くるくるの茶髪に手を置くとわしゃわしゃと撫でくりまわした。


「イタタ!ちょ、髪…」

「さっさと作戦練るぞ。期限は明後日!俺警備配置とか知らねぇし、機械にはすっげえ弱ぇから解説は判りやすく頼むぜ、相棒」


ほんの少し、笑顔を見せて言えば、満留は長身に似合わない童顔をぱぁっと輝かせ、「うん!」と答えた。

一種の母性本能だろうかと、俺は込み上げて来た何かを胸の奥深くに押し込め、
一人クスリと笑った。




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