GOD DIVA
□副職
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トレードマークのヘッドホンを着けて、大学の講義を終えた俺はゆっくりと自宅
のマンションへと足を進める。
この後は、適当にシャワーを浴びて、レポートを書き上げて布団に入るはずだっ
た。
そんな俺の予定を狂わせたのは、
「怜チャーン!」
相方の、何とも間の抜けた声だった。
〜♪〜
一気に機嫌の悪くなった俺は、渋々ヘッドホンを外して相方を睨み付ける。
「ちゃん付けすんなっつったろーが。何度言いやぁ判るんだテメーは」
「アハッそんな見つめんといてぇな!照れるやん!」
「頼むから死んでくれ」
登場数分で大ボケをかますコイツ、神無月満留(カンナヅキ ミチル)は、真面目に
照れた様子で頭を掻いた。
「見つめてねぇし、むしろ睨んでるから」
「そんな照れんと、正直になりぃ」
「照れてねぇし。眼科行け馬鹿」
「馬鹿は酷い!未来のフィアンセに向かって!」
「誰がフィアンセだ。第一お前、フィアンセの意味判ってんのか?」
「んもー。怜ちゃんたら。ジョークが上手いんやから〜」
「知ってるか?ジョークっつーのは嘘。つまり、お前は俺のフィアンセ違う」
「あぁ!違う違う!」
「はい取り消しは聞きませーん。閉店ガラガラ」
「怜ちゃん、それスベる人の代表的なギャグや」
満留は静かに俺を諭した後、小さく息を吐くと低い声で言った。
「任務(シゴト)や」
俺はきゅっと口を引き結ぶと、「わかった」と静かに首を縦に振った。
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