短編 DRRR!!

□今日のパンツは水色しましま
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一歩足を踏み出せば、サッカーゴールだった鉄の欠片が足にぶつかった。
言わずもがな、俺が投げた時にバラバラに砕けたやつだ。
学校近くで見つけた標識も運動場に刺さってるし、今日はいつも以上に荒れていたらしい。

なんで俺、こんなにキレたんだ?

その原因はすぐに見つかった。


地獄絵図から少し離れたところに座り込んでいる女子生徒。
田中ヨシノ。
俺の彼女だ。



「終わった?」



人質ということで他校生の男子に誘拐まがいのことをされていたはずの彼女は、まるで俺のホームルームが終わったあとを待ってたみてえにすくっと立ち上がると、スカートについた埃を叩き落とした。
普通の女子高校生なら怯えてしばらくは動けねぇところなんだがな…。
俺と付き合ってからは喧嘩なんて日常茶飯事だし、何より俺の力を誰よりも知ってる。



「ヨシノ、怪我ねぇか?」

「うん。意外と丁寧に扱ってくれたからねこの人達。悪い人じゃなかったみたい」

「悪い人じゃなかったら誘拐なんてしねぇだろ」

「それもそっか。さて、帰りますか」



ヨシノの左手には二人分の鞄。
空いた方の手で俺の手を取って歩き出すヨシノ。
俺の手のひらよりずっと小さくて柔らかい。
少しでも力を入れてしまえば壊れそうなそれは僅かに震えてて、コイツも人並みの感情は持ち合わせてたんだな、とか。
ちょっと可愛いとか思ったり、する。



「…静?ちょ、うわ!」

「…お前ちゃんと飯食ってんのか?」

「そりゃあ自動販売機に比べたら軽いでしょうよってか、下ろしてよ!」

「やだ」

「やだって、可愛く言ってもダメなんだから!下ろして!」



所謂お姫様抱っこと言うやつをしてやれば、遠慮なしに耳元で叫ぶ彼女。
女子高生ならもうちょっと可愛い悲鳴を挙げてもいいと思うんだが、生憎普通じゃないやつの彼女も普通じゃないらしい。



「ちょっと!あたしスカートなんですけど!パンツ見える!」

「お前いつも短いズボン履いてるじゃねぇか」

「そうだけど…ってオイ。いつ覗いた」





今日のパンツは水色しましま


(着いたぞ)

(ねえ、ここうちじゃないんだけど平和島さんちなんですけど。なに?また誘拐されるのあたし)

(明日休みだろ。あと今日は幽がカレーだって(おじゃましまーす!)はえーよ)

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