短編 DRRR!!

□ショート
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「ヨシノ、ここは…」

「そこは式の微分。微分したらxが出せるでしょ?」

「あぁ、なるほど」


放課後の教室。
少し前までは、夕日に染まる赤い教室にちらほらと人気は有った。
が、今は誰も居らず、何となく気まずさを感じているのが今の心情。

素直に相槌を打つ静雄を見る限り、そんな事はこれっぽっちも考えていないんだろうけど。


「微分すっと、指数の数を前に掛けるんだ、よな?」

「そーそー。ここ計算ミス。7×3が何で24になんのよ」

「は?しちさんにじゅうしだろ?」

「小二からやり直して来なさいお馬鹿。7を3つ足したら幾つ?」

「14…21か」

「そう。なんで高2にもなって掛け算九九やんないといけないのよ…」

「…悪い」

「謝る暇あったらさっさと頭に詰め込む!ハイ因数分解!」


溜め息をついて日本史の教科書を捲る。
こう見えて歴女なあたしはすぐに教科書を読むのに没頭する。
邪魔な前髪をかき上げると、前から視線を感じた。


「…なに?また判らないとこでもあった?」

「いや、邪魔じゃねぇのか?」

「あー前髪?そだねぇ、邪魔っちゃ邪魔かな?」

「なんで切らねぇんだよ」

「んー。めんどくさい」


素直な気持ちを口にすれば、クスリと笑われた。
失礼だなコイツ。


「なによ。悪い?」

「いや、ヨシノらしいなと思って」


あたしらしいって何だ?
面倒臭がりの何が悪い。


「悪いとは言ってねぇだろ」


おや、思ってた事が口に出ていたらしい。


「俺は短い方が好きだ」

「じゃーこうしよう」


あたしはぱたりと日本史の教科書を閉じる。
あ、付箋貼っとくの忘れてた。


「アンタの成績が上るまで、あたしは髪を切らない」

「俺には何のメリットもない提案だな」


とか何とか言いながら、計算をする手がさっきより早くなってるのはあたしの気のせいじゃないはず。
うん。


ま、精々頑張りなよ、とか思いながら日本史の教科書を再び捲りだすあたしが、

一週間後、学校帰りに美容室のドアを開けるなんて

この時のあたしが知る由もなく。


長さはショートでお願いします




(あれ?ヨシノ…)
(げっ、臨也…)
(あはは。髪切ったんだね。失恋?傑作だよその髪型)
(取りあえず死ね(くそぅ、前髪だけって言えばよかった))




―――――――――

髪切りたい…(_´Д`)ノ~~

微分積分大好きです

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