短編 OROCHI
□君を守る
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「凌統さんって、お兄ちゃんみたいです」
ずっと思ってたことを改めて伝えると、「はぁ?」と素っ頓狂な声を挙げられた。
え、ちょっとショック。
「俺はこんなじゃじゃ馬妹嫌だっての」
「えーなにそれ酷くないですか」
くそぅ。
垂れ目が憎たらしくなってきた。
目の下の黒子ちぎれちゃえばいいんだ。
「オイ。全部声に出てんだよ」
「あらーごめんあそばせ」
「ったく……」
皆遠呂智のことで忙しいってのに、と偉そうに言ってる割には暇そうにしてるし、元親さんなんて未だにべべーんって三味線弾いてるし。
忙しいなんて無縁なくらい、あたしたちはのほほんとしてる。
「あたし達以外は、ぴりぴりしてるんだろうね」
「あぁ?お前だけじゃねぇの?」
「なにおぅ!失礼な!」
「怒るなよ。誉めてんだってば」
凌統さんは、ファインティングポーズのまま「へ?」と固まったあたしの頭にぽんとその大きな手のひらを乗せて、ニカッと笑った。
いつもヌンチャクを振り回している手のひらは、やっぱり暖かくて、少しごつごつしていた。
「ま、遠呂智との戦の時は俺が守ってやるから、お前は俺の後ろで笑ってろっての」
「…それ、あたしめちゃくちゃ空気読めない子じゃないですか」
「お前はそれくらいが丁度良いんだっての」
そう言ってまた笑う凌統さんに、今度こそなにも言えなくなるのです。
俺が君を守るから
(あ、あとお前妹になろうとか考えんなよ?)
(えー!そんなに嫌ですか!?)
(ちげーよ馬鹿。お前は俺の女だろ?)
たまには、クサイ台詞も良いかなって
……ーーーー
凌統さん…
一目惚れしました←ゥオイ