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□0707.SAT
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『あ、雅弥くん?どうしたの?珍しいねこんなふうに突然かけてくるの。』

『まぁ。なんとなく?』

あいみの特徴的な笑い声がちょっと違って聞こえるのは、電話のせいか、それとも今日だからか。
なにそれーって言いながらあきれても笑う、笑い上戸なあいみのなんとなくそわそわした様子が電話からでも伝わってくる夜。

7月7日、土曜日。

所属してるチームはいま一段落ついて、ほんの少しだけ連続した休みをもらえた。それが分かったのが1週間前。

あいみが欲しがりそうな小物だのなんだのを居心地悪すぎるピンクな店で選ぶ。それが5日前。

プレゼント用に包まれたのをぼんやり眺めながら思いついたコト。3日前。

『こっちは夜空が澄んでてきれいだよ!夏なのにめずらしいよね。雅弥くんのとこはどう?』

えっと日本とイタリアの時差って何時間だったっけ。あいみに電話するときいつもどうだったっけ。
澄んだ夜空を窓越しに見ながら計算する。いま。

あいみの笑顔が見たくて。
見れそうで見れなさそうで。

ひっそり隠れた西園寺家の自分の部屋で、いつになく俺は緊張してた。



0707.SAT



あいみをどう喜ばそうって考えるのももう何回目だろ。

12時ぴったりに部屋に行ってみたりケーキ作ってみたり遠出に誘ってみたりイロイロしてみたけど。

『雅弥くん?』

イタリアからの電話で、初めてあいみにうそをついた。
誕生日に日本に行けないなんて言ったのに、あいつはいつもよりさらに聞き分けよくて。
本気でなんとも思ってないのかと思ったらガッカリしたけど。

『ああ、こっちもイイ天気だぜ。』

『そっかあ。あのね、雨が降ってたんだけど止んだから星がきれいなの。』

あいみが誕生日に星の話するなんてめずらしかった。
7月7日なんて日に誕生日なもんだから、星の話するとまるで気づいてほしいみたいになるからって話題に出さないし。

やっぱ気にしてたんだなって思うとうれしいけど、一瞬とはいえさびしい思いをさせたのは悪かったかな。

『あいみ、あんさぁ、』

『ん?』

『そっちにプレゼント贈ったんだよ。そろそろ持ってってくれると思うんだけど。』

トントン。
拳で2回叩く。
なんか懐かしい感じがする。離れてまだそんなに経ってないのに。

『あ、いま届いたかも!ちょっと待ってね。』

耳元であいみの気配が遠ざかって、こっちに向かってくるのが廊下が静かすぎるせいか聞こえてくる。

「はーい。みどうさん・・・?」

細く開いたドアから長いこと会ってなかった目がのぞく。
それがでかくなって。

「え・・・!?まっ、まっ、!?」

「落ち着け?」

笑ってやると顔が真っ赤になって。ああ、やっぱ来てよかったって思った。

金魚みたいにパクパクしてるあいみを思いきり抱きよせる。
イイかおりが懐かしいくらい。

「誕生日、おめでと。」

今年も喜んでくれたか?

END
→ありがとうございました♪

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