月は歪んだ
□34:月は歪んだ
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「よし!それじゃあ休憩をとる!」
「「「「ありがとうございますっ!失礼します!」」」」
一段落したのか、休憩にするようだ。
お兄ちゃん、沖田さんがこちらにやってくる。
『二人ともお疲れ様。』
「おう。
それにしても沖田君は強いなぁ。さすが…」
おっといけねぇ、とお兄ちゃんが口をつぼめる。
「キミもなかなかいい筋してるね。」
まぁ実戦じゃすぐ死にそうだけど、と沖田さんは付け加えた。
「おいおいそりゃどういう意味だよ…」
「指導者としての素質は十二分あるよ」
でも、と彼は言う。
「キミみたいな人は戦場じゃ命取りだね。甘さがあるから。そういう人はたいてい仲間を庇って死んじゃうんだ。」
そう言い放った沖田さんはニコニコしていた。
しかしその目はギラギラとなにか遠くを見つめているようだ。
それはまるで―――――
「……まっ、沖田君が言うならそうなのかもな。
今は切った張ったの世の中じゃねぇのが幸いだと思っておくよ。」
((…お兄ちゃん))
お兄ちゃんも思っただろう。
沖田さんが、獣を狩る者の目をしていたことを。
(獲物を狩るような非常に猟奇的な目…)
(そう、それはまるで)
(戦いたいと叫んでいるよう―――)
そう言ってるんですか?
to be continue...