月は歪んだ

□29:月は歪んだ
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『あのですねー…沖田さん。
身体…鈍ってたりしません?』


「え?」



ことは午前中に遡る。







「美憂ちゃーん!
噂の沖田君?のこと、麻紀ちゃんにもっと教えなさいよ〜」


『うーん…そんなこと言われてもなぁ…』



麻紀はせがんでくるけど…
私自身、沖田さんのことよく知らないし…



幕末からタイムスリップしてきた、新選組の一番組組長さんで?
私のことすぐからかってきて、笑顔で人斬っちゃいそうな、物騒な人で…?



ううっ…そんなもんしか知らないよ…




「なに?あんまり親しくないわけ?」


『うーん…親しくないっていうか…』


「なんか曖昧ねぇ…あ、そうだ。アンタさ、明日ヒマ?」


『え?明日?なんで?』


「明日ね、久しぶりに透先輩が部活に顔だしてくれるって言うのよ。」





緒方透…麻紀の所属する剣道部の先輩で、私のお兄ちゃん。

今は大学3年生だから、麻紀の直接の先輩じゃないけど…

あれでも面倒見のいい人だから、1、2年の頃は週1くらいのペースで高校に教えに来てたみたい。





『お兄ちゃんが?へぇ…珍しい。
最近は全然行ってないって言ってたのに…』


「ま、先輩も就活で忙しいんでしょ?
で、たまには見に来たらどう?」


『そうだねー…あ。』




沖田さん…連れてったらいいか。
刀使う仕事してるんだから、剣道だってできるよね。




『ね。沖田さん連れてってもいいかな?』


「ん?かまわないけど…」


『たぶん…剣道やってたと思うんだよね。』


「ならちょうどいいわ。私も会ってみたかったし。」




…ということがあったのだ。



そして冒頭に戻る。









『もちろん刀はダメですけど、竹刀でいいなら…』


「へぇ…この時代でも剣道できるんだね。
僕はいいけど、お邪魔しちゃっていいのかな。」


『そのことならお兄ちゃんに言っておきますね。
あの人、馬鹿だけど頭いいんで、なんとかうまくやってくれますよ。』



















(プルルルr…あ、もしもしお兄ちゃん?)
(あ?どうした?)
(明日、部活来るんでしょ?)
(沖田さん連れていくから、よろしくね)
(え。は、)




ちょ、どういうこと?



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