月は歪んだ

□32:月は歪んだ
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ちらっ、っと怯えた目で部長さんらしき人が私をみるので、軽く会釈する。


あたりを見回すけど、お兄ちゃんと沖田さんの姿はまだない。


―――と思ったとき。



「おーーーっす!元気かー?」


「ちょっと、なんでそんな大声なのさ」



あ。お兄ちゃんと沖田さん…

ていうか、お兄ちゃん、ハイテンション…

…ま、いつものことか。



ふ、と周りが静かなことに気が付く。


ちらっと麻紀のほうを見ると、教室ではみることのない緊張した、いや…強張った顔をしていた。

いや、麻紀だけじゃない。

剣道部全員が同じような顔をしていた。

中には青ざめている人もいた。





(え。なにこの雰囲気。何事なの?)





「おーい。放心すんなよー。
先輩が来たってのに、挨拶もないのかよ」



お兄ちゃんが一声かけると、部長さんらしき人がハッと我に返る。




「せっ整列!
…礼!お願いします!!」


「「「「お願いします!!」」」」



うわぉお…熱い。

これが運動部のノリなの?


…ごめん、私,
文化部だから分かんないや。




「俺も準備すっから、お前らも早く準備しろー
あ、そうだ。コイツ紹介しねぇとな。」



ちょいちょい、と沖田さんを呼ぶ仕草をする。



「こいつ、俺の大学の友達の沖田総一郎。
剣道やってたっていうから連れてきた。」


「沖田総一郎です。どうぞよろしく」


『ぷっ…』























(え、なに、総一郎って)
(だって透くんがそう言えっていうからさ。)
(なるほど。)
(てか、いつのまに名前で呼ぶほど)





仲良くなったんですか?



to be continue...
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