月は歪んだ

□26:月は歪んだ
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『それじゃあ、行ってきますね』

「うん、行ってらっしゃい。」


昨日、なんとなく機嫌の悪かった沖田さんは、今朝起きたときにはすっかりいつも通りになっていた。

なんか猫みたい、と思い、ふっと笑みがこぼれた。


最寄り駅から学校までは4駅。

電車に揺られながら、気がつけば沖田さんに関することばかり考えていた。




「あ、おはよう!」
『おはよう』


教室に向かい、いつも通り友人と挨拶を交わし、自分の席で荷物を整理する。

いつもならその後はたわいもない世間話をするのだが、今日は少し違った。

友人があからさまにニヤニヤしながら私を見てくるのだ。


『……何かあったの?』

「ふふふっ…美憂ちゃーん、アンタ、いつの間に彼氏つくったのよー!
親友の私にも教えてくれないなんて、ひどいわー!」

『…は?』


わざとらしく悲しむ友人が言ってることを、理解できずに一瞬フリーズしてしまった。


『彼氏…?誰の?』

「え?美憂、付き合ってるんじゃないの?
なんか噂になってるけど。」

『えっ私が!?誰と?』


いったい何の話、と突っかかる私に友人は噂話を聞かせてくれた。



「なんか、えらいイケメンなお兄さんと美憂がデートしてたとかって聞いたけど…」

『いや!まさか!そんなわけ…』


そこまで言って、頭に何かが過った。


「なに?思い当たる節でもあるの?」


友人はニヤリと笑って、火のないところに煙は立たないわよ、と言い放った。






















(なんでそんな噂が…?)
(火のないところに煙は立たないわよ)
(いや、でも…)
(少なくとも、ハタからみたらそう見えたんでしょ!)
(まぁ、確かに…)




…思い当たりますけど?


to be continue...
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