月は歪んだ

□24:月は歪んだ
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とりあえずお兄ちゃんを追い出した。


どうやらお兄ちゃんは、就職先がどうとかって話でお父さんと喧嘩したらしい。

それで勢い余って家を飛び出したみたい。

…だからって、うちに逃げ込むのは止めてほしいものだ。


とりあえず、昼御飯を…って!

『…沖田さん。…昼御飯がありません。』

「今から、すうぱあに行く?」

『…食べに行きませんか?
正直、今から作るの面倒なんですけど…』

「僕は別にいいよ?」

『じゃあ近くのお蕎麦屋さんにでも行きましょう!』


そうして私たちは家から歩いて15分程のお蕎麦屋に向かった。



――――



「へい!一丁お待ち!」

私たちは、ざる蕎麦を頼んだ。

『あ、沖田さん。この箸を使ってください。』


私は既に割ってある割り箸を渡した。
割り箸なんて使ったことないよね、きっと。


「ありがとう美憂ちゃん。」

『どういたしまして。』


ご飯を食べているので自然と無言になる。
私はふと、蕎麦屋の壁に貼ってある夏祭りのポスターをみた。

あー…もうそんな時期か…


「何かあるの?」

『へ?』

「だから、そんな時期って、どんな時期なの?」


知らず知らずのうちに呟いてしまったらしい。


『もう夏祭りの時期なんだなぁって思って…』

「ふぅん…この近くであるの?」

『はい。来週…7日後ですかね。
あ、よかったら行きませんか?
この前、甚平買いましたし。』

「そうだね。せっかくだから行こうかな。」

『よかった!断られたらどうしようかと思いました。』


私は手を叩いて喜んだ。

そうしたら沖田さんにそっぽ向かれてしまった。
…あれ、やっぱり私、嫌われてる?


















(なんでこっち向かないんですか?)
(うるさいな、黙りなよ)
(……やっぱり嫌われてる…)
(まったく…不意討ちなんて…)




そんなの反則だよ?


to be continued...
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