求めて求めて、求めた結果
□目を瞑ってまず最初に貴方を思い浮かべました
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変な男性2人(あんまりかっこよくない)に絡まれました。
「ね。1人だよね、君」
「暇ならさ、遊ばない?俺らと」
倒置法をそういう風に使わないでほしい。
そう言えばこの前の国語のテストに倒置法ってでてきたよなあ、なんて思いながら男達の話を聞き流す。
「無視ですかー?」
「ていうか君、さっき明星からでてきたよね?頭良いんだね。…来良ってそこまでよかったっけ?」
「さあ。中の下じゃん?」
ふーん、と顎を触って納得したように何度も中の下中の下と繰り返す。
「それなら、勉強しても無駄じゃん」
「だよな。つーことで俺らと遊びいかね?」
振り出しに戻った。そのまま会話してくれていればなんとか逃げることも出来たかもしれないのに。
「なんか言えよ」
「さっきっから俺らのことガン無視しやがってよー」
「…なんか」
「あ?」
「…だから、なんか」
「ああ?」
なんか言えって言われたからなんかと言ってやった。我ながら結構ひねくれていると思う。
「人がせっかく親切に遊びに誘ってやったのによー、その親切を仇にかえしやがって」
ぐっと右の手首を掴まれた。
まだそこ捻ったままで完治していないのに。この前も似たようなことされた気がする。確かこういうことをデジャヴって言うんじゃなかったっけ。
「いっ…」
「ちょっとそこまで、行こうかあ」
抵抗したけれどやっぱり女1人じゃ男2人にはかなわないわけで。引きずられるようにして路地裏に連れて行かれた。
痴漢された人は何で助けてって叫ばないのかなあと思っていたけれど、今ならその叫ばない理由が分かる気がする。
きっと恐くて、声が出ないからだ。
「さっきまで、強がっていたのにね」
どんっと肩を押されて冷たいコンクリートに尻餅をついてしまった。とっさに手をついたので、またズキリと捻った右手首が痛んだ。
「これから、何されるかわかるよね」
「叫んだりしたらいけないこともわかるよな?」
髪の毛を掴まれて耳元に低い声で言われた。悔しいのか、恐いのか。たぶん後者のせいだと思われる涙がでてきた。
「うっわ、泣いちゃったよ」
ウケる、と意味の分からない単語を何度も繰り返しながらブレザーをブチリと破り、次にYシャツを破る。
力任せに破るから、制服のボタンがそこら中に散らばった。
今日は静雄さんと一緒にご飯を食べる予定だったのに。最悪だ。きっと待ち合わせの場所で、煙草を吹かしながら待っているんだろうなあ。
金髪でバーテン服の怒りっぽくて、それでも優しい静雄さんを思い出して、目を瞑った。
「正義の味方とーじょー」
ありきたりなセリフで、救世主は現れました