求めて求めて、求めた結果

□反撃開始
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「来ねえな、静雄の奴」

「…暇だ」

「な。ヤってもいいかな、その方が静雄もショック受けんじゃね?」

「あー、意外に繊細そうな心の持ち主的な?」

「つえーのに心は弱いとかウケる」

「…あなた達より、静雄さんの心は強いです」

「ああ?」

「私を人質にして静雄さんを倒そうとする臆病なあなた達より、静雄さんはもっと、もっと強いです」

「んだと、手前自分の立場わかってるのかよ?」

「わかってますよ。私だって馬鹿じゃありませんから」

「じゃあ、これから俺たちにされることもわかってるよなあ?」

「そうですね。すっごくわかります」


わかりすぎて恐いくらい。フッと笑ってみせると、前髪をがっと掴まれた。

…痛い、顔に唾吐いてやっていいかな。でも私そんなことできるような勇気ないし、私の美学に反するからできないや。


「大人しそうな顔して、結構言うねえ。さすが静雄の彼女ってとこか」


否定します。私は静雄さんの彼女なんかじゃありません、なんて言える雰囲気じゃないから一応黙っておく。というか私と静雄さんの関係ってどうなんだろうか。恋人ってわけでもないし、知り合いってほど冷めた関係でもないし、友達…うーん、どれもいまいちしっくりこない。


「いきなり黙んなよ、なあ?」

「いっ…」


ぐっと更に強く前髪を引っ張られ、男の方に体が倒れる。


「ちょっ…」

「あはは、うれしいな。自分から来てくれるなんてなあ」


違います、というか自分から引っ張ってそうさせたんでしょう。なんて言う暇なく私の唇に何か暖かいものが触れた。それが男の唇だと気づいたのは男の唇が離れてから数秒後。


「な、何するんですか!?」

「涙目になって可愛いねえ。もしかして初めてだったとか?」

「お、静雄意外に奥手なんだな」


そうです、初めてです。
早く唇を吹いて消毒したいけれど、手足が縛られていてそんなことができるような状態じゃない。


「…最低、です」

「なんとでも言っちゃってくれて結構。その前に、俺たちとヤった感想を聞かせてほしいなあ」

「キスが初めてってことはこれも初めてなんじゃね?」

「まじかよ!処女じゃん!!」


気持ち悪い。耳を塞ぎたい。…そういえば手は動かせないんだった。ああ、最悪だ。もし静雄さんがこういう状況に陥ったとしたらどんな行動をするだろう。静雄さんだったらまずこの縄を破ろうとするかなあ。私にはできないから、せめて何かほかにできることは


「…知ってます?」

「ああ?」

「脛って弁慶の泣き所って呼び方もあるらしいんです」

「だからなんだよ」

「つまりですね、弁慶みたいに強い人でも脛だけは鍛えられないんです」

「…手前俺たちのことおちょくってんのか?」

「最後まで聞いて下さい。だから、脛は蹴られるととっても痛いんです、よっと」

「…っ、て、てめっ…」


思いっきり足で脛を蹴ってやった。まあ男の逆鱗に触れてしまったけれど、私の腹の虫は少しおさまったからよしとしよう。これから何されるかは目に見えているけれど、きっと静雄さんが助けに来てくれるから恐くはない。


「っ…まじふざけんなよ手前!」

「そうだ、お前がまじでふざけるなよ」

「…あ?」













やっと現れた救世主

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