昏い銀花に染められて…
□the present 4.
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(なんだって!?)
成績を見に来た夜天は驚いた。
そして、周囲を見渡すが、カグヤらしき人物は見当たらない。
とりあえず、近くにいた女生徒に声を掛けた。
「ちょっと、あの朋野かぐやって娘が何組か知ってる?」
「え?あ……私たちと同じ6組ですけど…」
「ありがとう」
夜天に声を掛けられた女生徒は、そばにいた友だちと話し掛けられたことを喜んでいた。
当の夜天は、足早にその場から去って、1年6組に向かっていた。
その様子を見ていたうさぎたちは「まさか、本当に…」と思っていた。
夜天の傍にいた星野と大気も、少し動揺した雰囲気が窺えた。
6組に着いた夜天は、クラスの中を覗くが、カグヤらしい人物が見当たらない。
ちょうど、教室から出てきた生徒にどこに行っているか聞いてみるが、朋野かぐやという人物は学校に来ても、授業をまともに受けず、いつもどこにいるのか分からないのだという。
誰とも関わろうとせず、いつも独りでいるそうだ。
「屋上とかで、たまに見かけますけど……」
それも確実というわけではないようだ。
夜天は大きく息を吐いた。
「どうだった?」
クラスに戻ってきた夜天に星野と大気が近寄り、尋ねた。
だが、夜天は首を振った。
「駄目。クラスにいないし、どこにいるのかも誰も知らないんだって」
なんだそれ。と星野が呟くが、夜天の目は諦めていなかった。
「ただ、名前が一緒というだけです。時間もあるんですから、焦らず探しましょう」
「あぁ」
大気は夜天の肩に手を置いて、夜天を諭した。
夜天は気持ちの焦りを落ち着けて、頷いた。
キミに会いたい……
一目でもいいから、
キミに会いたいんだ――…