昏い銀花に染められて…
□Episode 0.
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「三日後、月からお客様がやって来ます」
急にプリンセスに呼ばれた私たちは、最初のこの言葉を「ふぅ〜ん」と聞いていた。
だけど、プリンセスに何故来るのか、その説明を聞いていくうちに、そのお客が長期滞在だということが分かった。
「そのお客様は月の王国で滅びた、シルバー・キングダムの一族の生き残りのプリンセスです。失礼のないようにお願いします」
お客が来る3日前に言うプリンセスもプリンセスだが…視野を広げるためにプリンセス自らが来るというのも面倒な話だ。
プリンセスはいつも「お願い」の姿勢で話す。
私はそれに弱いわけだが、今回はそれを聞き入れたくなかった。
3日後。
もう一人の月のプリンセス――P・カグヤがキンモク星の地に降り立った。
(何?この娘)
プリンセスを真っ直ぐ見つめるカグヤの瞳は昏い影で曇っていた。
私はその目が嫌だった。
―――快く滞在を認めてくれたプリンセスへの態度がこれ?
話し方は丁寧、礼儀も正しい。
だけど、目が気に入らない。
だが、しばらくすると、ファイターとメイカーのカグヤへの態度が変わったのに、私は気付いた。
(何なの?)
面倒事だとお互いに言っていたというのに。
すっかり変わった2人の態度から、この時、私はカグヤに興味を持ち始めていたのかもしれない。
同志が認め始めたのだ。
気にもなる――…