昏い銀花に染められて…
□the past 5.
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「今回、地球との関係が不安定になったのも、地球の一部の者たちの野心を、ヴェーランスが駆り立てたのではないかと、考えているのです」
こうして、話は始めに、今の状況に繋がった。
「戦士たちには、今まで以上に警戒をしてほしいのです」
「「「「はい」」」」
「そして、セレニティとカグヤも十分に気を付けて欲しいのです」
Q・セレニティは強い眼差しを向ける。
―――生き続けて欲しい。何が何でも。
Q・セレニティの心底からの願いだ。
そうして話は終わった。
一同は、Q・セレニティの部屋を退出した。
カグヤは一人足早に部屋へと帰って行った。
シルバー・キングダムの滅亡がただの天災ではなく、仕組まれたものとは思いもよらなかった。
胸の奥は早鐘を打っており、全く落ち着いてはいない。
シルバー・キングダムの真の役割。
そのために滅びた――…
(ヒーラーっ!!)
今すぐにでも、この辛さをヒーラーに伝えたい。
今すぐにでも、ヒーラーの胸に飛び込んで、泣いてしまいたい。
(ヒーラー、ヒーラー、ヒーラー、ヒーラー!!)
カグヤは胸を押さえて、固く目を瞑って、遠い星の彼女の名前を心の中で叫び続けた。
どうして私たちは、
こんなにも離れた場所に
生まれついてしまったのだろうか……
カグヤは、枕に顔をうずめ、手には金木犀の花が入った巾着を握りしめて、彼女のことだけを想いながら、ほんの少しだけの涙を流した。
⇒the past 6.