昏い銀花に染められて…
□the present 6.
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放課後、かぐやはいつものように、独りでさっさと下校して行く。
(はぁ〜……今日も平穏な時間を過ごすことはできず……)
やっぱり家で独りでいるか、夜の公園で夜空を見上げている方が落ち着くなとかぐやは思った。
そんなことを考えながら、校門の方に向かって行く。
そして、門を出ようとした時、その傍で待っていたガーネットが肩に飛び乗って来た。
「お疲れ様」
小声でかぐやに声を掛ける。
かぐやはその言葉を聞いて、ふぅとため息をついてガーネットを見た。
「かぐや……」
「?」
すると、急に低い声に呼び掛けられた。
昨日からしつこく構ってくる夜天の声とは違った。
だが、知っている声だった。
誰だろうと思い、かぐやは声のした方を振り返った。
「!!」
立ち止まるのではなかった。
振り返るのではなかった。
振り返り、その人物を見たかぐやは大きく目を見開かせて驚いていた。
「あぁ!!かぐやだ!!良かった!!やっと見つけた!!」
かぐやよりも頭二つ分ほど背の高い男性が、振り返ったかぐやを見て、喜んでいた。
キラキラとした表情はどこか、気味の悪い印象を受ける。
「安土……」
かぐやはボソリとその人物の名前を呼んだ。
彼女の表情は、驚きと同様で苦い表情となっていた。
「あっ!!ちょっと待てよ!!」
一瞬、動揺したが、冷静を取り戻したかぐやは彼とは一言も話さず、踵を返して早足で去って行った。
安土と呼ばれた男性は自分の姿を見て去って行った彼女の背中を見つめながら、その場に立ちすくんでいた。
† † †
「厄介なヤツに嗅ぎつけられてしまった……」
その日の夜、かぐやはいつものように十番公園に赴いていた。
今日は、寒いのが苦手であまり夜には出歩かなかったガーネットも一緒だった。
かぐやはベンチの上で三角座りをしてガーネットを抱いている。
「どうやって居場所を突き止めたんだろう?」
そのガーネットに呟いた。
「私、アイツ、嫌いよ」
ガーネットのその言葉にかぐやはクスっと笑う。
「アイツ…私を見た途端、すごく敬遠した表情を見せてきたわ」
「そうだったかな」
かぐやがガーネットと出会ってからしばらくしてから、初めてガーネットと対面した安土は、何か得体のしれないモノを見るかのような顔をしていた。
まるで、異物かのように――…
邪魔者かのように――…
「アイツのことなんか、気にしなくていいんだよ」
私はガーネットのことが大好きだから。
大切だから。
そう、かぐやはガーネットに言った。
ガーネットは何があっても、
私が護ってみせる――…
⇒the present 7.