昏い銀花に染められて…
□the present 2.
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銀色の妖魔に襲われた翌日。
さっそく火川神社にやって来たうさぎは、ルナとともに、すでに集まっていたレイたちに昨日の出来事を報告をした。
「また…新たな敵なの?」
巫女の恰好をしたレイが、重たく呟いた。
「何者なんだろう?」
まこともみんなを見まわしながら言う。
「そのことについて、話したいことがあるんだけど……」
まことの言葉を受けて、下の方からルナが声を発した。
「はるかさんたちが来てから、話すわ」
そのルナの言葉に、みんなは頷いた。
今、火川神社にはうさぎたちとスリーライツが来ていた。
スリーライツの3人は、銀色の妖魔と遭遇しているので、一緒に話し合いに参加してほしいとうさぎに頼まれてやって来た次第だ。
まぁ、夜天は心底面倒くさがっていたが、星野がノリノリだったので、彼に付き合わされて来たような感じである。
あとは、はるかたちと衛がやって来たらみんなが揃う。
その頃、火川神社の階下では、十番高校の制服を着た、漆黒の髪を風に遊ばせている少女が神社の方を見上げて立っていた。
「ん?」
ちょうどその時に火川神社の前にやって来ていた衛が、その少女を目撃していた。
(何か神社に用事があるのかな?)
そう思って、その少女に話し掛けようとした。
「きゃっ!!」
「わっ!!」
じっと神社の方を見上げて立っていた少女が、ふいに動き始め、ちょうど話し掛けようと歩み寄っていた衛とぶつかってしまった。
衛は、自分にぶつかったその反動で後方へ尻もちをつきそうになるその少女の腕を掴み、さっと腰に腕を回してそれを回避した。
「大丈夫かい?」
「あ、ごめんなさっ……」
「?」
漆黒の髪の少女は周囲に気を配っていなかったことを謝ろうと、下の方を見ていた顔をさっと上げた。
少女を支える衛の顔を…瞳を見たとたん、少女は大きく目を見開かせて驚いていた。
「どうかしたか?どっか打ったか?」
少女は、衛の瞳をじっと見ていた。
―――吸い込まれそうな、この深い瞳……
少女の目はついには揺れていた。
「おい?」
「あ、あ……はい、大丈夫です」
やっと現実に戻ってきたようで、その少女は慌てて立ち上がった。
「ご、ごめんなさい。周りを見てなくて……」
「いや、いいよ。俺は大丈夫だから」
そう言う衛の瞳をまた見つめ続ける。
衛が訝しんでいると、またハッとなった少女は「失礼します」と言って、走って去って行ってしまった。
その少女が走り去って行った方を、衛は追いかけて見ていた。
(綺麗な子だったな……だが…)
衛が少女とぶつかったと同じ時にはるかとみちるも火川神社の前にやって来ていた。
「あら?衛さんじゃない?」
みちるがはるかに声を掛ける。
「本当だ。おい、女の子と話しているみたいだ」
みちるに促されて前方を見たはるかは、ちょうど衛が尻もちをつきそになっていた少女を支えていた時で、なかなか接近していたので、面白がってそう言った。
そのはるかの隣でみちるがクスクスと笑っていた。
しばらく見つめていると、その少女が走って彼の元から離れて行った。
そのタイミングではるかとみちるはまた歩き始めた。
衛と別れた、少女はこちらの方に向かってくる。
はるかとみちるは、漆黒の長い髪を靡かせているその少女がなかなかの美人だと思って見ていた。
そして、お互いがすれ違った時――…
「「!!」」
はるかとみちるは何か……うまく表現はできないが、その少女から何かを感じ取った。
少女が走り去った方を見つめ、とても鋭い視線を向けていた。
「はるかくんにみちるくん」
「「!?」」
少女のことを訝しんでいたので、衛の存在を忘れていた。
呼びかけられて、衛の方を見た。
「ずいぶん、綺麗な子とお話ししてらしたのね」
みちるが、からかっていることが丸わかりの表情で衛に言った。
「え、いや……ただぶつかっただけだよ」
慌てる衛に、はるかもクスっと笑っていた。