nomal

□双
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「どうしたの?」


君は訊いてくる。


「…なんでもない。」



そして僕は黙る。




「泣いてるの?」




君はきく。




「泣いちゃいないさ」



僕は目を臥せる。



“こんなの嘘だ”


心がこたえる。



「うそ。君は泣いてるでしょ。だって、ほら」


君は僕の頬を両手で持って

自分の方に向ける。



「見るなっ!」

僕は君を押して、少し距離をとって、顔を背ける。







「……………」


僕たちは黙り込み、沈黙が続く。




ほわ、…と



暖かくなった。



君が、僕の背中にいて、僕の、事を抱きしめて、



包み込んでくれてる。


「海?」
僕は名前を呼んで、

海は、
「…空。僕は空の近くにいるから…だから、泣かないで。」
ってこたえる。




「海……」


「だから、こっちを向いて?」




その声で、僕は海を見る。



僕は海の、赤と青の瞳をみる。


海の目に、僕の、蒼と紫の瞳が映って、

僕らは見つめ合う。
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