おひとりさま
□第4歩
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イナリ「何や?ボクに用でもあるんか?」
狼?「イヤ、オマエニ用ハ無イ…。我ラハ、アノ小娘ニ用ガアルノダ。」
イナリ「『我ら』…!?それじゃあ…あの人は…!」
狼?「ソウ…我ノ主…霊術士ノ『エイナ様』ダ。」
イナリ「くっ…!(まさか…いきなり霊術士がおるなんて!あかん…ゆらはんが危ない!)」
ゆら「はあっ…はあっ…いくらなんでも…早すぎでしょ…!」
ゆらは、イナリと引き離された事に気付かないまま、女性…霊術士のエイナを追っていた。
そして、綺麗に敷き詰められた石畳を走っていたはずが、何時の間にか森の道に入っていた。
ゆら「(うそでしょ…何で追い付けないの…?)」
すると、今まで追いかけていたはずの女性を見失ってしまった。
ゆら「えっ…!?さっきまで前にいたのに…!」
周りを見回すゆら。だが、人影は無い。
そして、イナリに相談しようと思い後ろを向いたが、そこにも誰も居なかった。
ゆら「もしかして…置いてきちゃった?」
森の中はまだ昼頃だというのに薄暗く、どんよりした空気が漂っていた。
言葉で例えるなら、「まさに幽霊が出てきそうな場所」である。