おひとりさま
□第3歩
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必要な物は全部持ったし!(本当はもっといるけどね)さあ、行こう!
『いってきまーす!』
片目が隠されていても、その笑顔は思わずみんなが笑顔になる。
近所の住人はそれを知らない。知ろうとする前に、噂から見ず知らずのゆらを恐れている者もいるのだ。
ばあちゃんはそれを憂いていた。
旅に出る事でそれが変われば嬉しいと言っていた時もあった。
刃はイナリを呼びたいのをこらえて、ばあちゃんの隣に浮かんでいた。
俺もあんな時期があった。
今こそ伝説の霊と謳われているが、最初は本当に落ちこぼれていた。
まだ駆け出しの霊術師だったばあちゃん…こよみに拾ってもらい、一緒にここまで成長した。
今となっては懐かしい思い出なのだが。
イナリ…お前はどうやって進むつもりだ?
ゆらは本来旅に出るには幼すぎる歳だ。
守り、導く事は…お前が思う以上に大変だから、覚悟をしておけよ?