おひとりさま
□第1歩
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『ふぅ…。疲れた…。』
どうやら、さっきの技は疲れるものらしい。
―今日もまた言われた。
『バケモノ』だなんて…
なりたくてなった訳じゃ
ないのに…。
少女は駅のホームにいた。家まで電車を使って帰るらしい。
少女が電車に乗ると、ドアが閉まり、電車が動き始めた。乗客は少女1人だけ。
少女が席に座って外の景色を見ていると、誰かが少女の肩を優しく叩いた。
『…?』
少女が不思議そうに振り向くと、そこには男の人が優しい顔をして立っていた。
―誰…?この人…?
―知らない人は私に話しかけてくる訳がない。
―でも、私はこの人を知らない。
少女が難しい顔をして考えていると、男の人は優しい声でこう言った。
「お嬢さん、お隣に座ってもいいかい?」
『…え?』
―あれ?この人の声、どこかで聞いたような…?
答えない少女に、男の人はもう一度言った。
「…お隣、座ってもいいかい?」
『あっ…いいよ。』
―懐かしいんだけど…思い出せない…。
「君は右目をどうして隠してるの?」
男の人の言葉に少女は慌てた。
少女は、ある理由で右目を隠しているのだが、まさかそれを聞かれるとは思っていなかったらしく、かなり慌てているようだ。