掛け算SS

□愛玩動物
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飽きたものを手元に残しておく理由は無い。
だって遊び倒したおもちゃなんてただのガラクタじゃない。

「どうしたのよ。付き合ってくれるって言ったじゃない」

飽きたものに委ねる身体なんかない。
だって快楽は真新しいものに存在するに決まってるじゃない。

「え?……ああ、もうどうでもいいわ。まあ、良い暇潰しにはなったけど」

飽きたものの存在価値なんて有るわけない。
だってあたしの世界はあたしが決定するんだもの。

「これが最善且つ最速の方法だったのね」

だからあたしはキョンの言う事が理解できない。
――いや、興味が持てない。

「……なんでそんなこと言うの?そんなキョン要らない。反抗なんて感情、殺いでよ」

言うと、一度あたしを飽かせた者は薄く微笑んだ。
それでいいの。何故一度捨てたものに執着するの?
有希、みくるちゃん、古泉くん。
キョンの言ってる人たちが誰かなんて興味も持てない。
そんなガラクタどうでもいい。

「……馬鹿みたいね」

好意の弱みって知ってる?
あんたって、愛情の上ではあたしの奴隷よね。

「あたしが好きなら、あたしを悦ばせる事だけしていれば良いのよ」

だから、あたしの為に――


2010,1,25

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