記念書物

□【プレゼントは致死量に至る甘味を貴方に】
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全く、甘ぇ。
甘過ぎだ。
いくら甘党の銀さんでも胸焼けおこすわ。

いや、甘過ぎて死んじまうわ。

けどよ、まぁ、たまにはこんなのも良いなぁ。


【プレゼントは致死量に至る甘味を貴方に】

朝、心地好い布団の温かさに包まれ、のそのそと気だるい身体を動かし時計を見る。

10時30分

酒がまだ抜けない。
頭はまだボンヤリとしていてまた寝ちまいそうだ。
寝間着のまま居間に行けば、今日も万事屋の雑務をこなす新八の姿があった。
いつもなら、朝早くに叩き起こされるが、今日は起こされなくて、新八は来ていないと思ったのに…。

「あ、銀さんおはようございます。」

「…おぅ。」

「まだ頭がはっきりしてないんですね。顔洗ってきてください、その間に朝ごはん用意しますから。」

「あー朝飯はいらねぇ。」

朝飯は、胃がムカムカするので遠慮したい。

「じゃあ何か飲みますか?」

「…イチゴ牛乳ココアで。」

俺の最近ハマっているイチゴ牛乳の新しい飲み方だ。
最近寒くなってきた朝はコレを飲んでいる。
温かくて甘くて美味い。
新八には糖尿で死ぬから止めろって怒鳴られるけどな…。

「全く、アンタそのうち糖尿で死にますよ。」

いつもの台詞を煩く言う新八。

「はいはい、作っておきますから顔洗ってください。」

新八は呆れたように言って台所に向かった。

あれ?
怒らない?
しかも作ってくれんの?
何か今日優しくねぇ?
寝ぼけた頭でそう思いながら顔を洗いに行った。


「はい、熱いですから気を付けて飲んでください。」

差し出されたのは俺の着物の柄と同じ、白地に青の渦巻き柄のマグカップ。

「…これ。」

こんなマグカップ、家に無かったはず。

「あぁ、それですか?昨日買い物に行ったらマグカップの安売りしてたんですよ。」

そう言って俺の向かいの長椅子に座っている新八は手際よく洗濯物を畳む。

「こないだ神楽ちゃんがマグカップ3つ割っちゃって、丁度新しいのが欲しかったんで探したら其があったんですよ。」

「ふ〜ん。」

そう生返事をしてマグカップを見る。
まぁこんな柄、珍しくもないからなぁ。

「ちなみに神楽ちゃんのがウサギの柄です。」

「お前のは?」

そう聞いたら新八は渋い顔をして歯切れ悪くボソッと呟く。

「……眼鏡、柄です。」

「っはははは。」

思わず笑った。
いや、だってメガネ柄って!!

「そんなに笑わないで下さいよっ!!」

「いや、だってお前っ!!」

「仕方ないでしょっ神楽ちゃんが絶対コレにしろって言うから仕方なくですよっ!!」
そう怒鳴って、新八は畳み終わった洗濯物を仕舞いにドスドスと隣の部屋に行った。

温かくなった残りのココアを一気に煽り、マグカップを洗うために台所へ。

冷たい水に手をしびらせながら、洗い終わったマグカップを仕舞う為に戸棚を開ける。
薄いピンク色に可愛いウサギ柄のマグカップと、空色に色とりどりのメガネ柄のマグカップ、その真ん中のスペースに自分のマグカップを仕舞った。
 
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