蝶の軌跡を彩る鱗粉

□夕飯戦争!
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「今日の夕飯はオムライスにするか」

昼ご飯の後片付けが終わって、冷蔵庫の中を確認してたアースが突然呟いて、「材料は揃ってるな」と、扉を閉めた

え、なに、夕飯はオムライス…?って

「ちょっと待て!俺らの事殺す気か!?」

「なんだ、大袈裟な。上手かっただろう」

「どこが!!辛いだけだったよ!!?」

前に一回(一口)だけ食べたアース作のオムライスは、見た目は普通だった

そう…見た目だけで中身は、…思い出しただけで、気持ち悪くなってきた

とにかく、トラウマになるには充分だった

「安心しろ、今日は上手くいきそうだ!」

「安心出来る要素がねぇ!」

なんでそんな自信ありげに言うんだよ

俺らからしたら悪夢でしかねぇ!!

「大人しくするから!悪戯もしないし、早く寝るから!だから、オムライスはっ…」

ブランはすでに半泣き状態(気持ち分かる)になってて、アースを止めるのに必死だ

「好き嫌いは許さん」

「オムライスは好きだもん!…あっ!」

「バカっ…ブラン!」

ブランもしまったという顔をしたけど、気付いた時にはもう遅かった

「好きなら食えるだろう?」

意地悪く笑いながら言うアースに、なんかすっげぇはめられた気がする

「ノワール…どうしよう」

「ん?あぁ、そうだな…」

どうしようって言われてもな

アースが台所を出た隙を狙って、オムライスの材料を隠す…とか?

…バレたら怒られるよなぁ

「どうした?二人してコソコソと」

こっちを見て面白がってるアースに、台拭きでも投げてやろうかと思った時

「こんにちわー。…誰か居ますか?」

聞こえてきた、扉を叩く音と声。この声は

「フェイだ!!」

言うのとほぼ同時、ブランは台所を飛び出してて、俺もちょっと遅れて続いた

「うわぁああーん!フェイー!」

「わっ!ど、どうしたんです?」

勢いよく腰に抱きついたブランを宥めながら、俺に何があったか聞いてきたけど

「今日の夕飯作ってくれ!」

「え…?別に、構いませんけど」

「やったぁ!フェイ、ありがとう!」

「お前ら、そんなに俺の作るオムライスが気に入らないのか?」

「だって辛いもん!」

「あれはオムライスとは呼ばねぇ!!」

安全な夕飯を確保すると、壁に寄りかかってるアースが不機嫌な声を出した

「…オムライスが食べたいんですか?」


 

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