UnderTale
□身を任せた結果
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「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「Ahー・・・アリアル」
サンズが暴走した事後
どうしようもない羞恥心に刈られたアリアルは、サンズのくるまっていたシーツを強奪して、みのむしのように丸くなっていた
先程とは立場が逆である
事後の服装もそのままに、シーツにくるまるアリアルを目の前にして、どうしたものかとサンズは頭を抱えた
(いやまぁ、そりゃオイラだって悪かっただろうけど・・・)
そもそも、パピルスによく言い聞かせて、アリアルがこの部屋に入ることを止めるように伝えていたハズなのに、どうしてこうなってしまったのか
まぁ恐らく、長いこと姿を見ていないことに対して、心配のバロメーターがMaxを限界突破してしまい、パピルスが出掛けた隙をついて部屋に来たのだろう
以前、部屋の合鍵を渡していたのも引き金になったかもしれない
(まぁ、お陰様で魔力も全快したし、気持ち体力も上がった気がするが
その代わりに口を聞かれなくなるのは、ちとオイラにはキツいぞ・・・)
「お、おーい・・・アリアルー、寝ちまったか?」
「・・・・・・」
(返答なし・・・か)
シーツにくるまってるのが、怒りの理由からならばまずい。と、サンズの焦りがスピードアップする
以前、Grillby'sに入り浸っていたとき、あまりにも帰りが遅い日々が続いたことがあった
サンズがGrillby'sのケチャップをこよなく愛している()のは周知の沙汰であり、アリアルもそれは承知していた
・・・のだが、連日(ケチャップを)遅くまで飲み歩いたことに対して、流石に怒りを抑えられなかったようで(ちなみにパピルスも怒っていた)
約三日ほど、口を聞いてもらえなかった、ということがあった
(三日ですら辛かったのに
今回は何日だ?一週・・・いや、二週間・・・?)
(・・・無理だ、アリアルが足りなくて死ぬ)
二週間、アリアルと話せない状態を想像するだけでも辛い
サンズは、表には出していない(つもりだが周りにはバレバレ)が、内心ではアリアルが大好きで止まない
Grillby'sに入り浸っていたのも、ただ単にケチャップを飲みに行っていただけではなく
パピルス相手にも語りきれないアリアルへのノロケ話を、寡黙なグリルビーに聞いてもらっていたという理由がある(グリルビーからすると複雑な心境である)
何秒、何分、何時間立ったかもわからない(実際数分も立っていないが)微妙な沈黙が、その場を支配する
起き上がった姿勢のまま、冷や汗を流して固まるサンズと、未だにみのむしのように丸まって動かないアリアル
耐えきれなくなって先に動いたのは、やはりと言うべきか、サンズだった
「なぁ・・・アリアル」
「・・・」
「その、すまん・・・悪かった。いきなりあんなことして・・・」
「・・・・・・」
「怖かった・・・か?怖かったよな、いきなりあんなことされて」
「・・・・・・・・・」
「余裕がなかったとは言え、アリアルの気持ちを考えないでいた
本当に、すまん」
「・・・・・・」
(うぅ・・・これで反応なしだったら、オイラはいったいどうすれば・・・)
「・・・別、に・・・怒ってない・・・」
もはや打つ手なし。そう思って肩を落としたサンズだったが、丸まったシーツの隙間からもにょもにょと聞こえた声に、顔をバッと上げた
「ほ、本当か?嫌だったわけじゃないのか・・・?」
「違うっ!」
シーツにくるまっていたアリアルが、大きな声を上げて、勢いよく飛び上がる
露になった顔は、茹で蛸のように真っ赤になっていた
「怒ってるわけない!た、確かにちょっといきなりだったからビックリしたし、最初は戸惑ったけど!
こ、これは怒ってたんじゃなくて!・・・えっと・・・・・・その・・・」
強かった口調が、段々と尻萎みになって弱くなっていく。呆然とするサンズを見ていた視線も、段々と俯き気味になっていった
「・・・き、きもち・・・よくて、はしたない姿、見せちゃって」
「いつもと違って、凄くサンズもやらしいし・・・」
「なのに、凄く優しくて・・・かっこよくて・・・」
「・・・もっとって・・・思っちゃったのが恥ずかしかったの・・・」
耳まで真っ赤に染めながら、アリアルは、秘めていた胸の内を打ち明ける。音が聞こえてしまうのではないかというくらい、彼女の心臓が早鐘を打った
俯く顔と、髪の隙間から見える耳まで、真っ赤にしたアリアルに告げられたことは、先程まで焦っていたサンズを、別の意味で焦らすのにそう時間はかからなかった
(・・・まじかよ、くそ・・・なんだよこれ
めちゃくちゃ可愛い、今すぐ襲いてぇ・・・)
ドッドッドッと、自身のソウルが激しく脈打つのを感じた
「あんまり・・・あんまりそういうこと言うな」
止められなくなる。顔に手を当てて、赤くなる頬を隠すようにしたサンズに、アリアルは包み込むように抱き付いた
金鳳花の優しい香りが、サンズを刺激する。火照った頬が肩に押し付けられ、ソウルがギュッと締め付けられた
「いいよ、止めないで」
好きな相手に抱き締められながら、か細く、恥ずかしそうに告げられて、止まれる男などいるのだろうか
居たら是非とも会ってみたい。俺は無理だ
なけなしに積み上げたサンズの理性は、意図も容易く崩されていく
抱き締めてくるアリアルを優しく離し、赤く染まる頬に手を添えて、トパーズの瞳をしっかりと見つめる
「Heh、その言葉、後悔するなよ
イヤという程愛してやるからな」
Chuとリップ音をたてながら、無防備な唇にキスをした
身を任せた結果
(加速する愛しさが止められない)