UnderTale

□お前が触れる
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「ねぇサンズ」
「んー?何だーアリアル」
「前から思ってたんだけど、サンズのソウルってほんのり青いよね」


アリアルの膝を借りてソファーに寝転んでいたサンズは、微睡む意識に語りかけてくる声にゆっくりと意識を覚醒させた

閉じていた目の、片側だけを開いてアリアルを見つめる。文字を読むために本に向けられていた目は、いつの間にかサンズを見つめていた
薄く開かれた目からのぞく、オレンジがかったトパーズ色の瞳がキラキラと光って見える


「Hmm、そりゃまた唐突だな
 まぁだが、おまえさんからすれば不思議で仕方がない、か?」


一般的に、モンスターのソウルには色がないと言われている。というより、一部のモンスター(アンダインやアズゴアなど)を除いて、ほとんどのモンスターのソウルは白色に見えるんだろう
だか、実際は全く色がないというわけではない
ニンゲンが7色のソウルを持つように、モンスターのソウルにも色はついている。それは、ニンゲンのものと違い均等に色が混じりあっているため、真っ白な色に見えるだけなのだ


「なんなら見てみるか?オイラのソウル」
「いいの?ソウルって命と同じなんでしょう」
「Heh、お前がオイラのソウルをどうこうするなんざないだろ
 こんなこと言うのは信頼している相手だけだぜ」
「ん、そっかぁ・・・えへへ」
「・・・(かわいい)」


「信頼している」というサンズの言葉に、アリアルはゆるゆると頬をゆるめた
サンズは、頬を染めて嬉しそうに照れ笑いをするアリアルを見て、思わずその頭を撫でた
ひとどおり撫でて満足したサンズは「よっこいせ」と声を出しながら身体を起き上がらせ
ニンゲンで言う「心臓部分」に右手を当てた
サンズの左目が、ポウッと、シアン色の光をを放つ

モンスターが何かしら魔力を使う際、片目が、自身のソウルの色に近い色を放つと言われている
サンズが魔力を使う瞬間を、数えるほどにしか見たことがなかったアリアルは、その光景に思わず見とれていた
自身の命そのものの輝きを放つ光景は、言葉にするのが難しいほど美しい、と

やがて、サンズが胸に当てていた手をゆっくりと放すと
そこには、うっすらと水色とも青色ともとれる色を放つ、サンズの『soul』がふよふよと浮いていた

淡い色を放つ『soul』を見ていたアリアルは「キレイ・・・」と呟いた


「Huh、触ってみろよ」
「え、でもこれは命そのものじゃ・・・」
「乱暴に触らなけりゃ大丈夫だ」


「heh heh heh」と、サンズは笑いながらソウルの浮かぶ手を向けた
アリアルは、おそるおそるといった様子で手を伸ばすと、傷つけないように細心の注意を払って、青色のソウルに触れた

ふにふにとした柔らかな感覚が、アリアルの掌に伝わる。淡い色を放つソウルは、ほんのりとした暖かさを持っていた
添えていただけの手をそっと動かし、サンズのソウルを優しく撫でる。傷付けないように触れてくる手の感触を、サンズは目を閉じて甘受した
その表情は、まるで頭を撫でられている幼子のようだ


「ね、サンズ
 サンズのソウル、持ってみてもいい?」
「Ah、いいぜ、優しくしてくれよ」


アリアルが両手をサンズへ差し出す。サンズの手にあったソウルがふよふよと浮きながら、アリアルの両手に収まった
手に収まったソウルを優しく撫でて、転がして、時々ぷにぷにとしながら、ソウルの感触を確かめる
それを、最初こそ気持ち良さそうに甘受していたサンズだったが、次第にその頬が赤く染まっていった


「あ、あー、アリアル、その、あんまり撫でられ過ぎると・・・」
「ご、ごめん!痛かった・・・?」
「Ah〜、いやそういう訳じゃないんだが・・・
 違う違う、痛くないからそんな泣きそうな顔すんなって」


痛がらせてしまったかと涙ぐむアリアルに、慌てたサンズがpet petと、しょんぼりした頭を撫でる
途端、撫でられたことに照れたアリアルが、手に収まっているソウルを、キュッと軽く握り、口許に当てた
照れたときの、無意識の癖が出たのだろう。ふにふにとした柔らかな唇の感触が、ソウル越しにサンズへと伝わる
無自覚な行動ゆえ致し方ないことだが、その感触に、サンズのソウルがドキリと脈打った。幸いにも照れているアリアルには気づかれなかったようだ


(アーーー、こりゃ・・・ちと、ヤバイ・・・)


平然とした様子を必死に保っているサンズだが、内心ではかなり焦っていた

ソウルは命そのものであると同時に、身体そのものでもある
ソウルに与えられた感覚は、そのまま、器である身体へとダイレクトに伝えられる。ソウルに触れるアリアルの感触は、直接サンズに伝わっているわけで──
ふにふにとした柔らかな唇が押し当てられれば、サンズとてどぎまぎしてしまう

それが、気になってる相手であれば尚更のこと


(はー、まったく・・・オイラの気も知らねぇで・・・)



お前が触れる
(愛しさでソウルが爆発しそうだ)

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