UnderTale

□劣情に身を任せて
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はぁ・・・と、口から吐かれた息が熱いことは、サンズ自身自覚していた


(ぁー・・・糞、ソウルが・・・疼く)


まずいな、と呟き、自身のソウルがある左胸の服をギュッと握る。そうでもしなければ、今すぐにアリアルの元へと向かいそうだったからだ

何故このようなことになったのか
理由は至極簡単、魔力を一度に大量消費してしまったからだ
日常生活程度の魔力消費量であれば、食べ物を摂取するだけですぐに回復できる
だが、一度に大量消費してしまった場合、食べ物を食べただけでは賄えない
その場合、食べて寝るを繰返して魔力をゆっくり元に戻すのだ


「はぁ・・・」
(Ahー・・・パピルスとアンダインにも言っておかねぇとなぁ・・・
 あいつが来たら・・・ぐちゃぐちゃにしちまいそうだ)


サンズのソウルが、どろどろに溶けて激しく疼きだす。疼くとはいっても、痛みなどはない
ニンゲン的表現をすれば、媚薬を盛られたときのようなダルさと疼きが、身体を蝕んでいるような感じ、だろうか
以前のサンズであれば、多少の身体のダルさがあれど、文字通りソウルが溶けて疼くなどということはなかった
そもそも、魔力を大量消費したところで、ソウルが疼くなどということはなかったのだ

それが何故か、アリアルと心を通わせるようになってから、少しでも魔力を浪費すると、ソウルが疼くようになった

ニンゲンのソウルをモンスターが取り込むと、膨大な力を手にできるとあるが
別の視点で考えれば、ニンゲンのソウルを取り込めば、魔力が一瞬で回復するとも言える
無論、完全に取り込んでしまえば、相手のソウルは失われて死んでしまうだろう
この場合の「取り込む」というのは、お互いのソウルを交わわせる「ソウルセックス」のことを指している
ソウルは命そのもの
それを交わわせ、お互いの魔力を補うことも可能なのだ。ならば何故、アリアルと出会う前に、そのようなことにならなかったのか・・・

魔力不足は生気不足。生気が不足した時、愛情を持つ相手に対して、激しい情欲と捕食欲が沸くのがモンスターなのだ
愛欲と肉欲は紙一重である
愛を覚えたモンスターは、その相手を酷く愛し、酷く欲する
それこそ、指の先から骨の髄まで、すべてを己の物にしたいと思うほどに愛情深い

サンズの場合、相手がニンゲンであるというのが、一番の原因だろう。ニンゲンのソウルは、モンスターのものよりも生命力に溢れているのだから


(しばらくは部屋に籠ってねぇとなぁ・・・
 Heh、兄弟にはしっかり言い聞かせて、あいつを・・・オイラの部屋に近づけないように・・・しねぇと)


ズグリと疼くソウルを、深く息を吐くことにより落ち着かせる。少しでも気を抜けば、すぐにでもアリアルの元へと行ってしまいそうだ

───数日後


「ねぇ、最近サンズ見ないんだけど、本当に大丈夫?パピルス」
「に、ニェ!?あ、あぁ、兄弟なら大丈夫だぞ!昨日もしっかり見張り台で仕事をしていたからな!」
「う、ん・・・なら、いいんだけど」

(やっぱり、パピルスの様子が可笑しい・・・)


サンズが、自室に籠るようになってから数日後──
パピルスとアンダインから、サンズのことを聞いていたアリアルは、最初こそ心配していなかったものの
1週間もGrillby'sで青いパーカーを見かけないことに対して、流石に心配になってきていた
大好きなケチャップを、毎日欠かさずGrillby'sに飲みに来ていたサンズが来ていないのだ
「体調が悪いだけだが、すぐによくなるぞ!」とパピルスは言っていたが、それでも流石に長引きすぎじゃないか、と

その日、パピルスがアンダインのところへ向かったことを確認し、アリアルはサンズ達の家に来ていた


「サンズ、いる?」


コンコンと、扉を軽くノックする。サンズからの返答はなく、部屋は静まりかえっているようだった
寝ているのかもしれない、と思うと同時に、体調が悪化して動けないだけではないか、と、悪い方向の考えが浮かぶ

サンズの部屋は、基本的にパピルスしか入ることが出来ないのだが、アリアルはサンズから部屋の合鍵を貰っていた
不法侵入はしたくはないが、致し方なし。そう思いつつ、アリアルは携帯のストラップにもなっている小さな鍵を、扉の鍵穴に差し込む
ほどなくして、鍵の空いた音が響く。ドアノブを回せば、すんなりと扉が開いて、アリアルを部屋へ招き入れた
カーテンの閉め切られた部屋は、まだ昼間だというのに薄暗い。音を立てないように部屋に入り込んだアリアルは、ベッドの上で丸くなっているシーツを見つけた

以前部屋で見た、丸めたシーツよりも膨らんでいる。どうやら、シーツにサンズがくるまっているようだ


「・・・サンズ」


アリアルが、ベッドサイドに静かに座った
ギシリと、スプリングが軋む音がした。シーツは小さく上下している


「サンズ・・・」


上下するシーツの合間から見える、白い頭蓋骨に手を添える
熱はないか、大丈夫なのか。確認しようとしたアリアルの身体が、グイッと引き込まれてベッドへ倒れこんだ
ドサッと音を立ててベッドに横になったアリアルの上に、馬乗りになるようにしてサンズがまたがる
止める間も、声をかける間もなく組み敷かれたアリアルの頬に、熱でもあるのかと思うほど、熱い吐息がかかった


「ヨォ・・・パピルスの言いつけを守らないで、何で来ちまったんだい
 Bat child(悪い子)だな、アリアル」
「さ、サンズ・・・?」
「Hmm、お前さんが悪いんだからな」


ペロリと、サンズの青い舌が、舌なめずりをする。普段の飄々としたものとは違い、その表情には余裕がない
ズボンのみ着込んでいるサンズの身体は、骨だけだというのに汗ばんでいた
肋骨の間から見え隠れしている青いソウルは、形が整っておらず、辛うじて逆さハートの面影はあるものの、どろどろに溶けている


「さ、サンズ!ソウルが・・・っ」
「Ahh・・・わかってるさ。死にゃしねぇから、安心しな」


ポタリポタリと、白い骨に溶けたソウルの雫が滴る
サンズは、右手をアリアルの左胸におくと「悪いな」と呟きながら、魔力を流し込んでアリアルのソウルを具現化させる
突然具現化させられた自身のソウルに、アリアルの身体がビクリと震えた
トパーズの瞳は驚きで見開かれ、恥ずかしさからか、頬が高揚している。えも言われぬ背徳感を感じたサンズのソウルが、ズグリと更に疼いた


「手伝ってもらうぜ、アリアル
 今の俺には・・・余裕がねーんだ」


具現化されたアリアルのソウル。それはフワリと浮かび上がり、目の前まできたソウルを、サンズの青い舌がベロリと舐めた

アリアルの背筋が、ゾワリと粟立つ。くすぐったいような、気持ちいいような、経験したことのない感覚
気づけば、着ていた服ははだけさせられ、サンズの片手が胸に触れていた
ソウルから伝わる、ヌルリとした舌の感覚と、直に触れられる肌から伝わる、少しひんやりとした骨の感覚
サンズが触れる度に、彼女の意思に反して身体がビクビクッと震えた


「っ、はっ・・・ぁ、う」
「Hmm・・・ここがいいんだな」
「ぁ・・・あぅっ・・・んん、んっ」
「ハァ・・・」


サンズの舌が、アリアルのソウルを弄ぶ。ペロリ舐めたかと思えば、チュッとリップ音を立ててキスをする
もちろん、アリアルの胸に触れている手も、愛撫することを忘れていない。柔らかな胸の感触を楽しむように、しかし、決して乱暴ではない手つきで

薄暗い部屋で、魔力を使っているサンズの左目が、怪しげにシアン色に輝く。余裕のない顔で笑みを浮かべる様は、どこか妖艶だ
サンズを見上げるトパーズの瞳が、生理的な涙を浮かべて潤む
高揚する頬に、トロンととろけているような目で見上げられたサンズは、ゾワリと、劣情が背筋を這い上がるのを感じた


「ハ・・・すまん、アリアル
 もう・・・限界、だ・・・」
「っ、・・・ぁ」


チュプと音を立てて、どろどろになったサンズのソウルが、赤くとろけているアリアルのソウルに重なった
お互いの鼓動が、ソウルを通じて近くに聞こえる。トロトロに溶けた青いソウルは、アリアルのソウルを補食するかのように覆っていく
ゾクリ、ゾクリと、二人の背中に劣情が走る。溶けて混ざりつつあるソウルから、ダイレクトに快楽が伝わってきた
ぐちゃぐちゃに貪るような、それでいて優しくかき乱すかのような、乱暴にしているようにしながらも、愛しいという思いに溢れる交わいに、アリアルの思考がとろけていく

サンズの額から滴った汗が、ポタリとシーツにシミをつけた。混ざり合うソウルからも、ポタリポタリと雫が滴った
重ねた手に、どちらとも言えず力が籠る。サンズが一方的に組敷くような体勢は、いつの間にかお互いを抱き締めるような形になっていた

そして───


「っ、ぁ"」


ギュゥッと、サンズがアリアルを力強く抱き締める
それとほぼ同時に、サンズのソウルがアリアルのソウルに一層絡み付き、締め付けた

ゾワリ、ゾワリと腰回りから駆け巡る快楽
それは全身に侵攻し、ビクリと何度も身体が痙攣した


「っ、っつぁ"、はっ・・・」
「ック・・・ハッ・・・愛してるぜ・・・アリアル」


身体を震わせ、瞳に涙を浮かべながらも必死に抱き付いてくるアリアルを、愛しそうに目を細めて見たサンズは
桜に色付く小さな唇に、優しく口付けを施した



劣情に身を任せて
(どろどろに溶けて、混ざり合う)

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