UnderTale

□保護するのまでがテンプレ
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(あ、あれ・・・おかしいなぁ、さっきもここ通ったような・・・)


ハァーと冷たくなる手に息を吹きかけながら、アリアルは考えた

Waterfall(ウォーターフェル)の町で、アンダインの所に居候すること数ヶ月
最初こそ(一方的に)険悪だったアンダインとアリアルだったが、アンダインの親友でもあり、アリアルの友達でもあるパピルスの計らいにより、無事(?)和解することができた
今ではすっかり打ち解けた仲だ

余談だが
アンダインのアリアルへ対する扱いは、まるで妹に対するかのような、見事な溺愛っプリであり
そんな風に戯れるアンダインとアリアルを眺めては、悩殺されるアルフィーの姿が目撃されるのが、ここ最近の日常だったりする


『アンダイン、パスタできたよ!』
『お!上手くできたなアリアル!偉いぞ〜』(頭ナデナデ
『えへへ、アンダインのために頑張ったんだ〜』
『オッフ(無垢な笑顔・・・これが、天使っ!!!)』

『・・・・・・・(戯れるアンダインとアリアル、尊い)』←盗み見するアルフィー


閑話休題(それはさておき)

いつもならば、この時間のアリアルはアルフィーの研究所にて、メタトンと遊んでいるのだが・・・
ほんの数時間前にかかってきた電話により、アリアルはSnowdin(スノーフル)へ向かうこととなった


『もしもし、ニンゲンか?オレサマだ!パピルス様だ!!』


電話の相手はパピルスだった
どうしたのかとアリアルが聞けば、これまたパピルスは『実はな、ニンゲンに見せたいものがあるのだ!』ニェヘヘヘと独特な笑いを溢しながら言った『今から俺様たちの家に来れないか?兄ちゃんも待ってるぞ!』

パピルスから電話がくることは珍しくはない。だが、パピルスがアリアルと何かしら接触したい時は、大抵彼の方からウォーターフェルへと足を運んでくれていた
それはきっと、スノーフルの寒さでアリアルが風邪を引かないように、彼なりに配慮しているからだろう

ほんの少し前
ちょっとした悪戯を考えたサンズが、防寒していないアリアルをスノーフルへと拉致し
スノーフルとウォーターフェルの温度差により、案の定、アリアルが風邪を引いてしまい
事の原因であるサンズが、パピルスとアンダインにこってり絞られる。といったプチ事件があった
それ以降、パピルスはアリアルの身体に気遣い、自らがウォーターフェルへ出向くようになったのだ
地下での生活に慣れてきたとは言え、やはりアリアルは人間。モンスター達が耐えれる気候でも、子供であるアリアルには厳しい部分がある

勿論、パピルスからの電話に対し、過保護なアンダイン(セコム)が黙っているわけがない
風邪を引いたことを何気に気にしているのだ、当然のことアリアルがスノーフルへ行くのを引き留めた
だがそれは、アリアル自身によってやんわりと断られた


『心配してくれてるのはわかるけど、ずっとパピルスに来てもらうのはすごく申し訳ないよ』
『で、でもだなぁ・・・また風邪でも引いたら大変だぞ?』
『ん、大丈夫!この前ママ(トリエル)から凄く暖かいお洋服を貰ったんだよ!』


そういってアリアルは、毛糸で編まれたセーターをアンダインに見せた(アンダインが笑顔に悶えたのは言うまでもない)トリエルお手製のセーターがあるのならば、アンダインも納得せざるをえない
最終的に、若干不服げにしつつも、アンダインはアリアルが出掛けることに同意した

──そうして、アリアルがスノーフルへと向かって家を出たのが、約数分前のことである


(あれ、あれれ、この看板さっきも見たような・・・)


ウォーターフェルからスノーフルまでは、然程遠くはない。が、歩幅の小さなアリアルにとっては、その距離は近いと言えるものでもなかった

勿論そのことはセコム(アンダイン)も承知しており、当然彼女も着いてこようとしたのだが・・・
『アンダインはお仕事があるからダメ』という妹(アリアル)のダメ出しにより、あえなく沈黙
それでも、妹(アリアル)に対するセコム心で揺れていたが、そこはアリアルの最後のダメ出し『正義のヒーローはお仕事もちゃんとしないと』という言葉により、仕事へ向かうことになった
妹は強し、である


(お、おかしいなぁ・・・
 さっきちゃんと看板見たと思ったんだけど)


そうして、一人でスノーフルへと向かう権利を勝ち取ったアリアル
ウォーターフェルからスノーフルまでは、ほぼほぼ一本道。方向音痴の気があると自覚しているアリアルでも、流石に一本道であれば迷うことはないだろう
と、数分前まで思っていた自分が目の前にいれば、アリアルは即座にその頭を叩いているだろう
とどのつまり・・・


(絶賛、迷子なうぅううう!?)


ヒューーと、冷たい風がアリアルの周りと心に吹き荒れた(ような気がした)
地図を片手に握り締めてはいるものの、既に彼女は方向感覚を失っており、地図で見て、自分がどちらから来たのかすら解っていない

と、大袈裟に言ってみたのだが


(実はそれ、ただ単に同じところをぐーるぐる回ってるだけなんだよナー)


地面に手をつき、所謂「orz」という格好をしながら落ち込むアリアルの様子を、こっそり木の影から盗み見る1つの陰

だぼっとした大きめの青いパーカーに、これまただぼっとしたジーンズ。ずんぐりむっくりとした体格の足元は、何故かピンクのスリッパが
常ににやついているような口許を、どことなく心配そうに下げながらアリアルを見守るスケルトン──サンズは(チビッ子、まじ方向音痴すぎだろ)と内心でため息を吐いた

以前、アンダインと弟のパピルス(ついでにトリエル)に、こってりと絞られてから、サンズはアリアルに大きな悪戯を仕掛けることを控えていた(あくまで控えていただけである)
まさかあれくらいであんなに絞られるとは思わなかった、という、えも言えぬ経験をしたから、ということもあるが
──自分が思っているよりも、ニンゲンという生き物はあまりにも脆いのだと、実感したのが大きな理由だ

モンスターにとって病気や怪我は、一切経験しないというものではないが、日常的にかかるものでもない。それ故、サンズ達は、子供であるアリアルが、脆い存在であるということを忘れがちだ
忘れてしまってたが故に、引き起こしてしまった事態。死ぬほどの病ではないとは聞くものの、苦しそうに呻く姿を見れば、心が痛むというものだ


(あん時はまじで肝が冷えたぜ
 ま、スケルトンに内蔵なんてないぞー、ってか)


お決まりの寒いジョークが、サンズの中で炸裂する。ツクテーン、なんていう間抜けなSEが聞こえたのはきっと幻聴だろう。突っ込み不在なのが辛い


「ええっと・・・さっき、こっちから来たから、ここから右へ真っ直ぐ行って・・・」
(あー、違う違う、そりゃ地図が逆さまだ
 そっち行ってもスノーフルには着かんぞ)
「え、あれ!?行き止まり!?」
(まぁそりゃ逆さまの地図見てたらそうなるわな)
「えええええぇ!アンダインこの地図間違ってるよ絶対!」
(いやお前さんが地図の見方を間違えてるだけだよ・・・)
「これ絶対ホットランドへの地図だよ!」
(・・・正真正銘スノーフルへの地図だよそれは・・・)


アリアルが一言発する度に、声にならないサンズの突っ込みが空しく炸裂する。真面目で何事もそつなくこなすアリアルだが、地理のことになると、とことんポンコツなのだ(本人が自覚してるよりも方向音痴が拗れている)
そのため、本人が一人で出掛ける際は、必ずと言っていいほどサンズが後ろからついて見ていた(ストーカーではない、決して)最終的には、サンズがアリアルを目的地まで連れていく。というのがお決まりの流れである


「あ、これ前も見たやつだ・・・雪まんじゅうだっけ」
(あーもう、そんな雪に手を突っ込んだら冷えて風邪引くぜ全く)
「まんじゅうってことは、食べれるのかな?」
(いやいやいや食べれないからな!?)
「これ持てるかな?
 ・・・わ、凄いフワフワだー、でも形崩れないんだ」
(Ah・・・フワフワしてるのはお前さんだよ)
「えーと、ここをこうして・・・こうで・・・うん、できた!」


満足そうな笑みを浮かべるアリアルの目の前には、綺麗に形作られた雪だるまが。ご丁寧にも、腕に見立てられた木の枝が刺されている
うんうんと満足そうに頷くアリアル。スノーフルへ向かうという、本来の目的を忘れていないだろうか・・・
若干心配になりながらも、サンズは木陰からアリアルの様子を見守り続けた


(あー、そういや昔、兄弟と一緒に雪像を作ったっけか)


ふと、パピルスとともに、自分自身の雪像を作った記憶が甦る
器用にも、細部まで自分の身体を作り込んだパピルスに対し、サンズが作った雪像は、もはや雪像と呼べぬ代物だった


(いやー、あれはいい思い出だな)
「今度サンズの雪像、作ろうかな」
「Heh、そりゃ光栄だな」
「え、サンズ!?」
(あ、やべ)


心の中で呟いたはずの言葉は、口から飛び出てしまっていたようだ(しかも結構大きく)木陰から覗くのを諦めたサンズは、ガサガサと茂みから大人しく出ていった
アリアルの目が、驚きで大きく見開かれる


「Heh、heh、そんなに驚くなよちみっ子。ポロっと取れちまいそうだぜ」


パチンとウィンクをしたサンズの言葉に、真に受けて慌てたアリアルは「取れるの!?」と両目を隠した(Oh・・・バカワイイ)
アリアルが目を隠したことをいいことに、悶えたサンズが鼻を抑える。骨なのに可愛さで鼻血が出たらしい


「Ahー、取れないから大丈夫だ、アリアル」
「え、嘘なの?・・・またサンズに騙されたー」


ムッと頬を膨らまし、腰に手を当てながら怒る。ぷんすこぷんすこ怒るアリアルを見ながら(ん"ん")とサンズは内心で悶えていた


「ところでサンズ、こんなところでどうしたの?」
「ん?ぁー・・・ちょっとな」
「あ、わかった、また仕事サボってるんでしょう」
「心外だな、ちょっと散歩してるだけだぜ?たまにはボーンとしないとな」

「骨(ボーン)なだけに」


ツクテーンと、何処からともなくドラムの音が鳴った(ような気がした)サンズのジョークを聞いたアリアルの表情が、若干渋くなってるのはご愛嬌

アリアルがウォーターフェルから遠くに出掛ける度、彼女は毎回と言って良いほどサンズに出会っている
わざわざ自分に会いに来ているのでは?と少なからず思いそうなのだが、残念なことに、そこはアリアル「またいつものサボりか」程度にしか思っていなかったりする
実際は方向音痴のアリアルが、道を間違えて迷子になりはしないかと心配して見守っているのだが・・・
若干抜けているアリアルは、全くと言っていい程、サンズの手助けに気付いていない。それがまた可愛いなどと思うのだから、サンズも重症だ


「そういえば今日、オイラ達の家に来るんだったな。丁度家に帰るところだし、一緒に来るか?」
「ん、行くー」
「(よし、計画通り)んじゃこっちに来い、近道を使うぞ」


言うが早いか、サンズはアリアルを抱き寄せると、寒くならないように自身のパーカーですっぽりと身体を隠し
その体勢のまま、アリアルを連れて自宅へと戻るのだった



保護するのまでがテンプレ
(わー、サンズあったかーい)(Heh、そりゃよかった(糞かわいいなおい))

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