宿命背負いし少女
□第1話
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蘇る悪夢
ザアザアと、土砂降りの雨が降る草原
その中に、傘も差さずに1人の幼い少女が立っていた
少女は呟いた
「………お、父さん………?」
地に横たわるのは、彼女が愛し、また彼女を愛した両親と剣術の師匠
彼らの体からはおびただしい量の『命』とも呼べる液体が流れていた
この場で息をしているのはただ二人のみ
少女と、彼らを切った張本人である20代後半であろう赤髪の青年
青年は吐き捨てる様に、だが冷静に言った
「お前を庇わなければこの者達は死ななかっただろう」
少女は呆然とし、立ち尽くして彼らを呼ぶ事しか出来なかった
「………お父さん………お母さん、師匠………
返事を、して下さい………」
少女はすがる様に彼らを呼んだ
だが、願いは届かない
「どうか、返事を………
お父さん、お母さん、師匠!!
うわああああああああああ!!!!!」
叫びは、空に虚しく響いた
青年は少女に言った
「私を憎むがいい。憎んで、憎んで、お前が力を付けた時、
―――私の望みが叶うのだから」
そして青年は消えた