書庫
□趣味なのです。
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「やばっ」
時計を見ると9時を少し過ぎていた。稲原みつぎは額に汗を浮かべながら帰路を急いだ。
「ただいま〜…」
我ながらなんとも弱々しい声でリビングのドアを開けた。
中央にあるソファーの上で小柄な体が横になっていた。誰も見ていないテレビの中に、半裸のお笑い芸人たちがアツアツのおでんに群がる映像が流れている。
テーブルの下に転がっていたリモコンを探しテレビを消した。
起こさないように静かに部屋を出ようとすると背後から名前を呼ばれた。
「…みぃくん?」
どうやら目を覚ましてしまったらしい。声変わりをしていないような甲高い声が尋ねる。
「た、ただいま。ちょっと着替えて来るよ。」
慌てて答えると後ろから抱き締められた。
「みぃくん、遅かったね。…約束、忘れてないよね。」
ギクリ
やっぱり...やるのか、
短い溜め息をつき返事を返した。
「解ってるよ。」
*---*
「みぃ〜くん、またこんなにしてぇ」
「あっ…」
風呂上がりすぐにリビングに連れて来られ、着けたばかりの下着を剥がされた。
「いっぱい生えたね。」
みつぎの下半身の茂みを触ったり撫で付けたり引っ張ったりしながら楽しそうに言う。
そして用意周到な彼はどこからともなく買い物袋からあるものを取り出す。
パッケージには“肌に優しい"の煽り文句が書かれていた。
「準備はいい?」
ニヤニヤしながらそういいはなつ恋人。
「…うん。」
それを受け入れる俺。
仰向けにされた身体に
スイッチを入れられたソレは電子音をたてて近づいてきた。
まるで羊の毛でも刈るかのような慣れた手つきでみつぎの大事な所の毛は刈られてゆくのであった。
今日が約束の3ヶ月目。
陰毛もパイパンだった頃に比べれば十分生えた。
恋人の趣味は剃毛。
俺をパイパンにする。
そんな彼もまたパイパン。
一年前、初Hの時に恋人のパイパンを拝んでからどうやら俺もパイパン好きになってしまったらしい。
「みぃくん、つるつるになったよ。」
気づくと茂みはなくなっていた。なんだか淋しい気もしたが、雄々しい分身はすでに半勃ちしていた。
「…ホントだ。……恥ずかしいな。」
パイパンにも半勃ちにも恥ずかしい俺は己から目を離した。