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□汚れなき心に愛の手を。
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「…あっ…あっ…はぁ、はぁ…」
「…いい?ここがいいの?」
「ん…、 もっと…もっと、突いて…奥…、奥の方…」
四つん這いになっている青年がそう叫ぶ。
その上気した頬は艶かしく、青年と呼ぶよりは少年と呼ぶに相応しい幼さを残していた。
躰も性器も大人の男のような雄々しく色黒ではなく、まだ白く汚れを知らないようだった。
「奥?まだ奥の方?」
男の太い性器が青年の秘部に根元まで入っていった。
-グググッ-
「…そこ…、いっい……はぁぁあ…」
男は次第に腰をゆっくり動かし始める。
「あぁ…奥、気持ちぃんだ。
すごく俺のも締め付けられて…」
男は腰を速く、鋭く、青年の一番奥まで突きつける。
「いっ…くぅ、はぁぁ…」
秘部から一度抜いてはまたすぐに勢いよく入れてやると
青年の甘い吐息が口から漏れる。
「前も…弄って…」
先っぽの方…爪たててもいいから…」
青年の声は甘く甘く、それで切ない。
「はぁ…いい、よ…」
男のゴツゴツした指で青年の前はしごかれてゆく。
-グチュグチュ-
--グチュグチュ、グチュ-
青年が攻められている前からか後ろからか、どちらか区別もつかないほど、体液や精液が躰を伝う。
「あぁっ…イくぅ…」
*--*
「…っはぁ、はぁ…またイっちゃったよ、君ん中、キモチイね…」
「うん…。」
「一緒にシャワー浴びない?躰、汚れたでしょ。」
「いいよ。先に行ってて…すぐ行くから。」
バタン。
ジャ――
バスルームの扉が閉まるとシャワーの音が微かに聞こえ始めた。
青年は急いでベッドの下に散らかった自分の服を拾い集めた。
そして男が脱ぎ散らかしたスーツと鞄の中身を物色し始めた。財布の中の現金とガードの山に幾らか顏がほころんだ。
「無用心だよね…。」
青年はそのスーツを綺麗にたたみ、鞄の中に詰め込んだ。
「俺は躰は汚れてもいいんだ。
心が汚れなきゃ…それでいい。」
ボソリと自嘲気味に言った青年の瞳はどこか哀しみを含んでいた。
*――*
男が体を洗い終わってもまだシャワーに来ない青年を不思議がって呼んでいた。
「俺、終わっちゃうんだけど〜、まだ来ないの?」
返事はなかった。
まさか、と思い男ばバスタオルだけ纏い室内を見に来ると
そこには
男の呼びかけに答える人はもういなかった。
ただ残っていたのは、
男の臭い靴下と汚い下着だけだった。
ホテル中に男の絶望の叫びが響いたのは言うまでもない。
end.