5927
□10代目、
1ページ/2ページ
「10代目……」
獄寺は、ひとつの棺桶の前で小さく呟いた。
あの日から、毎日ここに来ている。
そしていつも同じように、彼のことを呼ぶ。
彼が返事をしてくれるわけないのに。
もう、貴方の笑顔を見ることはできないんですか。
貴方の隣で、貴方と一緒に笑いあうこともできないんですか。
貴方が俺の前からいなくなってから、俺は泣いてばかりです。
10代目がいなかったら、毎日何も楽しくないんです。
ねえ、覚えていますか。
リング戦の時のこと。
またみんなで花火みようって、
雪合戦もしようって言ってくださったじゃないですか。
あれからずっと戦いばっかりで、まだ何もできてないんですよ。
雪合戦も、何もかも。
何でなんですか、10代目。
何で、なんでなんでなんで、
―――何で死んじまったんですか。