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□melt
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「おお、沢田! 丁度良かった、この資料を資料室まで運んでおいてくれ! 」
「え、え? 」
「ちょっと急いでるんだ、頼んだよ! 」
その教師はそんな捨て台詞を残して、
そそくさとどこかへ消えていった。
綱吉の腕の中には、ずっしりと重い何かの資料。
綱吉はうんざりというように深くため息をついた。
「仕方ないか……資料室ってどこだっけ」
仕方なく資料室を探し始める。
と、そこで背後から聞きなれた声がした。
「10代目! 」
振り向かなくとも、自分のことを10代目≠ニ呼ぶ者など限られている。
少なくともこの学校の中では、彼一人しかいない。
「獄寺君! 助かった…」
「なっ、どうしたんスかその資料の山は! 」
「いや、さっき先生に押し付けられちゃって……」
情けなくははっ、と笑ってみせると、
彼は即座に綱吉が抱えている資料を掴んだ。
「オレが持って行くんで、10代目は先に教室戻っててください! 」
「え、獄寺君全部持っていくの?! 」
「これくらいチョロいっス! 任せてください! 」
「でも……っ、」
「じゃ、また後で! 」
獄寺は綱吉にむかってニカっと笑うと、
踵を返して資料室へと向かっていった。