08/10の日記

14:33
めもー
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唐突に浮かんだりして携帯にメモしていたものの
結局ちゃんと形にすることが出来ていないものたちを
お蔵入りさせるのが何となく悲しくてちょっと自己満的に晒します・・・


柔く唇を啄まれる
「今日はやけに積極的だけど、どうしたの?」
僕の髪を手櫛で梳きながら忍野が囁く
子供じゃないと拗ねたくなるほど、優しく
鼻で僕の前髪を掻き上げ、額にキスを落とす
ちろりと目尻をなめ、こめかみに擽るようなキスをした
忍野はキスをするのが好きだと思う
僕の体のあらゆる場所に優しく、柔く、吸い付くようなキスを与える
何度も、何度も、繰り返し。
きっと忍野は知っている
忍野を感じて、忍野の事だけを考えていたいと、思っている事を。
思っているだけだけれど
どうして、伝えられないんだろう
伝えられないのに、伝わってしまう
汲んでくれてしまう
だから、だから、僕は・・・
机に座っている忍野の膝によじ登る
首に軽く手を回し、ゆるりと体重を預ける
それに応えるように忍野が僕を抱き締めた
そして器用に歯で学ランの釦を外して鎖骨の窪みに舌を這わせ、甘く吐息を吹きかけては擽る
忍野の色褪せた金髪がふわふわと揺れていて、そのくすんだ金色が無性に愛おしく感じて…
僕は、本当に忍野が好きで好きで仕方がない。
ずっと、忍野といたい。
戦場ヶ原には悪いけれど、戦場ヶ原の事は大好きだけれど、戦場ヶ原を泣かせて仕舞うのかもしれないけれど、
僕の生涯全てを渡そうと思う



「帰りなよ、阿良々木くん」
僕を抱き留めたまま忍野が飄々と呟く
もう遅いからご両親が心配するよ、と
その理性的な言葉に僅かに滲む余裕のなさや依然として僕を強く抱きすくめる腕の力や擦り寄せられた頬に忍野の情欲を感じた
僕に欲情してくれているのだと、嬉しくなった
形を伴って忍野を束縛できる。一時的に、でも



黒よりも黒い黒
こう書くと言葉遊びのようだけれど
既知の黒、僕の知っている色としてのそれと今僕をくるむそれとの間には埋めがたい差があった
どちらが上である、とか上質であるとかは無いにしろ決して混ざる事は無いだろうと思われた
塗り潰したような、ではない
総てをねじ伏せてそこに在るのではなく
総ての色を内包する色としての、黒。であり細かい黒の粒が詰まり、犇めく闇。
恐くはなかった
そういうものだと納得していた
ただ一つ、傍に忍野がいない事だけが不思議で不思議でたまらなかった



人はさ、言葉を知りすぎたよ
口から、零れ出ていた
不思議そうに僕を見上げるこの少年は催促こそしないものの、言葉の続きを待っているのは間違いない
調子が狂うな、とか思いながら続けた
「小さい頃ね、僕は月はバニラアイスクリームみたいだと言っていたんだ
綺麗にくるりとくり抜かれたバニラアイスクリームにそっくりで可愛い、とね」
バニラ、アイス…
彼は小さく復唱する
そして目を細め確かにとでも言うようにほんの少し右に首を傾けた
真っ白ではない。僅かに黄色がかっていて、とろけるように滑らかで。
「それから随分沢山言葉を覚えたけれど未だに満月を見て思うのはバニラアイスクリームみたいだ、なんだよね
どんなに言葉を覚えようともそれは他人に伝える為の手段に他ならない
自分の知っている言葉に綺麗な物を当てはめようとするから凡俗になってしまうんだよ」
微笑む彼と、戸惑う僕と、アイスクリームみたいな満月とは
きっと、絵になるほど綺麗に違いない、と
あとで忍ちゃんに話そうと、それだけを考えていた



・・・おわりですだー

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