07/10の日記

13:22
白ツナ
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これは、あるひとつのパラレルワールドの話。

「今日から白蘭様の身の回りのお世話させて頂くことになりました。沢田綱吉と言います」
「はじめまして。でも白蘭でいいよ。敬語もなし。僕固いの苦手だから、綱吉クン」
「でも…」
「いいの。命令♪」

爽やかな朝。
白蘭の寝室へ白蘭を起こしにやって来たのは、昨日までのイカツイ部下ではなく、小さく愛らしい少年だった。
まだラフな部屋着姿のまま、白蘭がベッドから少年を舐めるように見つめる。
何とも初心そうで澄んだ瞳をした、純朴な少年だ。

(さすが正チャン。わかってんじゃん♪)

これぞ、可愛い子を世話係にしてくれなきゃもう何もしない!と散々駄々をこねた甲斐があったというものだ。
白蘭は素晴らしい働きをしてくれた部下に満足げな笑みを浮かべて、不安そうにしている少年を手招きした。
こんな背丈の小さな少年が着ていると、見慣れたミルフィオーレの隊服も何だか凄く可愛いものに思えてくる。

「じゃあ早速お仕事ね。おいで♪」
「は、はいっ!」

白蘭に呼ばれて、綱吉がすぐに小走りでベッド脇へと駆け寄ってくる。
ベッドで寝転がったまま、白蘭は綱吉に微笑んだ。

「おはようのキスしてよ」
「は?」

予想通り。
綱吉の呆然とした表情。

「キス。してくれないと僕起きないから」
「えっ!」

いやもう起きてるじゃん!というツッコミなど通じない。
どうしたらいいのか分からず、わたわたと焦りだした綱吉の腕を白蘭が引く。

「わ…っ」

急に腕を引かれて体勢を崩した綱吉を、すかさず白蘭が引き上げてその腕の中に閉じ込めた。
白蘭の温もりと甘い匂いに包まれて、綱吉の顔が朱に染まる。

「綱吉クン。勘違いしちゃいけないよ?これは列記としたお仕事。君の任務なの。わかるよね?」
「に、任務…」
「そ。ミルフィオーレのボスである僕から直接与えられた任務。これってすごく光栄なことだし、出来ないなら…」

綱吉を後ろから抱き締めて、その髪を指でそっと梳きながら言い聞かせるように囁く。
すると、さっきの焦燥した表情から一転、今度は綱吉がひどく真面目な表情で白蘭を見つめてくる。
くるくると表情の変わる綱吉が愉快で仕方ない。
口元を笑みで緩めながら、白蘭は大切な一言を耳元でそっと囁いた。

「クビにしちゃうよ?」
「…っ、」

その言葉は綱吉に効果てき面だったようだ。
綱吉がゴクリと息を飲む気配に、白蘭は余裕の笑みを向けて綱吉を腕の中から解放した。

「ほら、白蘭おはよう。起きてって可愛くキスして?」

トン、と指で己の唇を叩く。
綱吉はしばらく戸惑いをみせていたが、ついに覚悟を決めたらしい。
じっと強い眼差しで、白蘭を見つめる。そしてそのまま恐る恐る、寝ている白蘭へと顔を寄せた。

「おはよう、白蘭。起きて?」

それは触れるだけのキス。
すぐに唇を離してしまった綱吉が、真っ赤な顔をして白蘭から視線を反らす。
でも白蘭がそんなキスで満足いくはずがなく、余計に何だかいじめてやりたくなって。
口元の薄い笑みが、ニィっと伸びて綺麗な曲線を作った。

「じゃあ次のお仕事!ベッドの上にマシマロあるでしょ?それ食べさせて」
「マシマロ?」
「そ。僕の主食なの。食べないと元気でないから」

まだ真っ赤な顔をしたまま、綱吉がベッドボードに乗っていたマシュマロの袋へ手を伸ばす。
袋を開けて白蘭へ差し出すと、白蘭は笑顔のまま首を左右に振った。

「アハハ。僕の手をわずらわせる気?綱吉クンが食べさせるに決まってんじゃん」
「え?」

白蘭の指が、ふに、と綱吉の唇を押す。
柔らかで弾力のあるその唇に、白蘭は自然と舌なめずりをした。

「その可愛いお口でね♪」
「お、くちっ?」

口移しで食べさせてよ、と言って数秒後、何を言われているのかやっと理解した綱吉が一気に耳まで赤くなる。握った拳までブルブルと震わせて。
それを見て愉快そうに笑いながら、白蘭がもうお決まりになった言葉を口にする。
任務だよ。クビにしちゃうよ?
それは魔法の呪文のように、綱吉を動かすのだった。

「…ん」

綱吉がマシュマロを一粒摘まんで、己の口へ運ぶ。
薄く開かれた唇に挟まれるマシュマロ。
たったそれだけだというのに、こんなにも官能的に見えるのはどうしてだろう。
小刻みに震えながら己の元に運ばれてくるマシュマロを、白蘭は静かに待った。

「んっ!」

このまま食べてしまうのも面白くない。
白蘭はマシュマロを受け取るフリをして、綱吉の唇をペロリと舐めた。
綱吉がビックリして、丸めた目で白蘭を見る。

「マシマロ離しちゃダメだよ?」

綱吉に念を押し、白蘭はマシュマロを無視して綱吉の唇をペロペロと舐め回した。
体を起こし、綱吉の体を再び腕の中に閉じ込めて。

「ふ、ふ…っ」

ビクビクと脅えたように震えながら、それでも必死にマシュマロを口に含んだまま耐えている綱吉が愉快で愛らしい。
白蘭の中の加虐心が疼く。
再び唇の輪郭を撫でるように舐めながら、静かに綱吉の制服を寛がせていく。
下に来ていたシャツの中に指を忍ばせてその肌に直接触れると、綱吉はついにその口からマシュマロを離してしまった。

「あ…っ!」

ベッドに落ちたマシュマロは、綱吉の唾液でもう半分融けてしまっている。
けれど白蘭はそれを摘ま上げて口に放り込み、美味しそうに食べて飲み込んだ。

「ん〜、ダメじゃないか綱吉クン。僕が食べる前に落しちゃうなんて」
「ごめっ、でも、あれ以上は…」
「口答えはナシだよ。さぁもう一回だ。今度は失敗したらダメだからね?」
「うっ…」

綱吉に有無を言わせず、白蘭が再び綱吉にマシュマロを食ませる。
綱吉がおずおずと、マシュマロを挟んだ唇を寄せる。
しかしやっぱり白蘭が素直にそれを食べるはずもなく、食べるフリをしながらまた綱吉の上着の中に指を滑り込ませた。

「…っ」
「落さないでね?」

囁いてから唇を舐め、指はゆっくりと腰を辿り、胸元でピタリと止まる。
そのまま、綱吉の突起の周りで円を描くようにスリスリと指の腹で撫でてやった。
これだけでふうふうと息を荒くし始めた綱吉に、笑みが止まらない。

「んん〜?これ何かなぁ〜?」

もう既に簡単に指で摘めてしまう、コリコリとしたもの。
ただ乳輪を撫でてやっただけで尖ってしまった綱吉の両乳首をクニュクニュと指で押すように弄りながら、白蘭がわざとらしく尋ねる。
綱吉が羞恥に震え、頭をブンブンと左右に振った。
白蘭が余計にはしゃいで、小さな乳首をきゅうっと強く摘まみ上げる。

「ふ、う…っ!」

もう絶対に落すまいと、必死に我慢する綱吉の口端から唾液がこぼれる。
それをベロリと舐めて、摘まみ上げた乳首をクリクリとこね回しながら。
何の気まぐれか、ついに白蘭が綱吉の唇からマシュマロを受け取った。

「んーーっ!」

やっと食べてもらえたと安心したのも束の間。
白蘭は唇を外すことなく更に深く唇を重ねて、今度は口内を舐め回してくる。
逃げようとした舌をあっけなく絡め取られて、じゅるじゅると痛いほどに吸い上げられた。

「ん、んふ…っ」

かと思えば、今度はちゅうっと優しく唇吸われてをそっと舌を重ねて舐められる。
初めてのキスに、綱吉はすっかり翻弄されていた。
呼吸が上手く出来なくて、意識が朦朧としてくる。どうしてか視界が潤んで、体が熱い。
綱吉は無意識に白蘭にしがみつくき、ぎゅうっと白蘭の上着を握ってしまっていた。
白蘭の指に優しく頭と体を撫でられて、自分の声ではないような声が喉をつく。

「は…は…あっ」

そして長く執拗に続いた白蘭のキスからやっと解放された頃には、綱吉の顔は完璧に火照って瞳は虚ろに蕩けていた。
垂れてしまいそうな唾液を拭うことも忘れて熱い呼吸を荒げる綱吉の姿に、白蘭の背中がゾクゾクと鳴る。

「は、びゃくら…」

何も知らなった純朴な少年を、この手で穢していく。己の色に染めていく。
それは、真っ白な雪に足跡をつけるかのような快感。
白蘭はもう一度、己の名を呼ぶ愛らしい唇に、ゆっくりと自分を重ねた。

「君はやっぱり素晴らしいね、綱吉クン。僕、楽しくなってきちゃったよ♪」

またマシュマロを摘まんで綱吉の唇に挟ませ、唇を重ねる。
頭をかき抱いて何度も角度を変え、深く深く綱吉の唇とマシュマロを貪る。
綱吉はもう抵抗なんてものすっかり忘れて、白蘭に抱き付いてただ身を任せるだけになっていた。

「ん…うっ…」

キスをしながら、手馴れた手付きで綱吉の服を脱がせていく。
上着とシャツを脱がして、もちろん下も脱がせようとした白蘭は楽しげに笑った。
綱吉の股間が、小さく膨らんでいる。

「ん〜、キスだけでこんなにしちゃうなんて、見かけによらずいやらしいんだね?」
「やっ、」

綱吉の小さな膨らみの感触を確かめるように、手の平を押し付けて撫で回す。そんな場所にいきなり触れられて、綱吉は呆然と硬直しているだけだ。
でも、そんな風になってしまっているのは綱吉だけではない。
綱吉の昂ぶりを撫でながら、白蘭は綱吉の前でいきなり下着ごと己のズボンをずり下げた。
露になる白蘭の下肢。
ぶるんと震えて現れたのは、既に完璧に昂ぶった大きな雄の姿だった。
赤黒く凶器のように反り返った逞しすぎるその姿。自分のものとはまるで別物なそれに、綱吉が脅えたように震える。

「僕はほら、見かけのままだろ?」
「や…っ」

思わず身を退こうとした綱吉を引き寄せ、頭を掴んで強引に己の雄へ近付けさせる。
鼻を突くような雄の匂いと、初めて他人の昂ぶりにこんなに接近した恐怖に綱吉の声が掠れる。

「僕ってば、まだまだ若いから朝勃ちしちゃうんだよね。でもこんなんじゃ執務に集中できないでしょ?」
「う、う…っ」
「だからこれを鎮めるのも、君の任務ってわけだ」

嫌がる綱吉の唇に雄を押し付けてキスをさせ、そのままスリスリと擦りつける。
呻きながら逃げようとする綱吉が愉快でたまらない。
このまま口の中に押し込んでやろうと強く雄を押し付けたが、綱吉が歯を食い縛って強く拒絶した。
さすがに、そこまで理性は溶けていないらしい。

「クビにしちゃうよ?」
「…っ」

でもこの一言があればいい。
綱吉は泣きそうな表情をした後、恐る恐る唇を開いて白蘭の昂ぶりを受け入れたのだった。
本当に魔法の呪文だ。

「う、ぐ…うっ」

受け入れてみたものの、変に柔らかくて生暖かかなそれが気持ち悪い。
けれど綱吉は、白蘭の雄を懸命にちゅうちゅうと啜った。
やり方なんてわからないから、ただ夢中に吸った。

「綱吉クン。ちゃんと舌使いながら吸うんだよ?あと、手はこっち♪」
「んっ」

ただ先端を吸うだけだった綱吉が、ペロペロと遠慮がちに舌でも白蘭を撫で始める。
そして片手が誘導された場所は、白蘭のずっしりとした陰嚢。離すことも出来ず、それを柔く揉みながら綱吉は白蘭に奉仕した。
少しずつ増す快感に、綱吉の髪を撫でて白蘭が熱い息を吐く。

「びゃく、ら…」

可愛らしい口を窄めて己のグロテスクなものをはしたなく咥えながらの上目遣い。
そしてその口が、舌足らずに紡ぐ己の名。
解ってやっているんだろうか?だとしたらやっぱり大物だ。
男なら誰でもたまらぬ光景に、白蘭の背筋がまたゾクゾクと鳴いた。
いつもなら我慢出来るのに、今日はもう我慢出来そうもない。

「そう、綱吉クン。そのまんまね?」

綱吉に先端を咥えさせたまま、自分で根元を握って擦り上げる。
ぎゅうっと絞るように扱けば、それはすぐにやってきた。

「ん、うううううっ?」

綱吉の瞳が、また驚愕に丸くなる。
離そうとした頭は、白蘭にガッチリと押さえ込まれて動かせなかった。
びゅくびゅくと、口内に大量の液体が吐き出されて満ちていく。
青臭さが鼻に抜けて気持ちが悪い。この生暖かさが気持ち悪い。
すぐに吐き出したかったのに、まだ口内にある白蘭の昂ぶりでぐちゅぐちゅと掻き回されて、思わず飲み込んでしまった。

「はっ…げほ、ゲホ!」
「今はいいけど、次からはもっと美味しそうに飲んでおねだりする位にならないとダメだからね綱吉クン。さぁ、任務はまだまだ続くよ♪」
「ひ…!」

青臭さに噎せ返っていた綱吉が、恐怖に表情を引き攣らせる。
あんなに熱を吐き出したはずの白蘭のものが、また凶器のようにそそり立っている。
取り出したローションをボタボタと手の平に伸ばしながら、白蘭はニッコリと笑った。

「ゆっくりやるつもりだったけど仕方ない。だって、綱吉クンがそんな可愛いのがいけないんだよ?」


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「白蘭さん!命令通り新しい隊員を用意したのに完璧遅刻じゃ……って、な、ぁ…!」

早速約束を破って遅刻した白蘭の部屋に強引に押し入った正一は、硬直した。
限界まで見開かれたその瞳に映るのは、部屋に広がる、信じられない光景。

「ひゃっ、あん!びゃくら…びゃくらぁん、あっ、んあっ、きもひ、いいよおっ!あんっ、もっと!」

響く甘ったれた声。異様な熱気に満ちた部屋。
ベッドの上で白蘭に跨り、はしたない表情でゆさゆさと揺れている小さな影。
朝見た姿など、もう見る影もない綱吉がそこにいる。

「ダメだよ正チャン。この僕をこんな方法で出し抜こうだなんて♪」
「……白蘭サン、貴方」

嬌声を上げる綱吉の腰を掴んでパンパンと下から突き上げながら、白蘭が楽しげに笑う。
チラリと、硬直したままの正一に視線を投げながら。

「確か、ボンゴレのボスの名前はアントニオ君、だったよね。…この世界では」
「…っ」

くつくつと笑いながら、白蘭が口にしたのは聞きな慣れぬ名前。
そう、この世界のボンゴレのボスは、沢田綱吉ではない。
アントニオという名のイタリア人だった。
…白蘭が知らされている、データ上では。
何かを含んだ白蘭の言葉に、正一が明らかに動揺する。

「まさか最初からボンゴレのボスに影武者を立てて、この僕に本物のボスである『沢田綱吉』の存在を知られないようにするだなんてね。いやホント、まんまと騙されちゃったよ。あの可愛くないアントニオ君、中々立派だったしね」
「…いつ、気が付いたっていうんですか」

作戦は完璧だったはずだ。白蘭が沢田綱吉の存在を知っているはずなどないはずだ。
だからこうして、綱吉を白蘭の元に連れて来たのに。
腹を押えながら脂汗を流す正一に哀れみの表情を向けながら、白蘭の饒舌は続く。

「そしてその上で確実に僕を消すために、僕の元に直接、本物のボスである沢田綱吉を送り込む。うう〜ん、中々大胆な作戦だったね正チャン♪いや、これも僕に隠して結託してるボンゴレの入れ知恵なのかな?」
「あなた、そこまで…っ」
「可愛かったよ〜10年前の綱吉クン。この作戦を成功させるために、クビにされないように健気でね。クビって単語だせば何でも言うこと聞いてくれてさ、かなりスムーズに進んじゃったよ。…調教がね」

その証拠だとでも言いたげに、白蘭が正一を眺めながらニヤニヤと綱吉の耳元で何かを囁く。
綱吉は白蘭に言われた通り、耳を塞ぎたくなるような言葉を叫んで白蘭の上で激しく腰を振った。
壊れた笑顔で嬉しそうに笑って、必死に白蘭の唇をねだりながら。
別人のようなその姿に、正一にはもう、それが沢田綱吉であるという確信すら持つことが出来ない。

「こんな可愛いもの僕に寄越してくれてありがと、正チャン。僕、ずっと大切に可愛がるね♪」
「あ…綱吉、君…っ」

白蘭のキスを受ければ、綱吉が白蘭の首に腕を回し、もっともっとと甘い声でねだり始める。
これは誰だ。何だ。
綱吉が白蘭の元へ行ってから、まだ数時間しか経っていないはずなのに。
こんな短時間で完全に綱吉を破壊され、白蘭の玩具にされてしまった。
白蘭のことを見くびっていた。もっと慎重に動かなければダメだった。
でも今更、遅すぎる。世界を救う鍵である綱吉を奪われて、作戦はあっけなく失敗してしまった。
ガクン、と力なく正一が膝を付いて項垂れる。

「あ〜、そういえば僕、まだ正チャンに言ってなかったっんだっけ?」
「な…っ」

そして正一は、再び驚愕に目を見開いていた。
白蘭の背中で、大きく広がっていく白い両翼。それが綱吉ごと、白蘭を包み込んでいく。
自分の目が何を見ているのか、よく解らなかった。

「僕ね、パラレルワールドの情報、何でも共有できちゃうんだ♪」

だからどんな小細工も、僕の前では無意味なんだよ。
新世界の、神の前ではね。
翼の中で綱吉にそっとキスをして、また一歩神に近付いた男は満面の笑みを浮かべた。

「ザーンネン。この世界も、ここでゲームオーバーだ」




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