04/11の日記

17:22
ジョジョパロ?
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※ツナちゃんのスタンドがディーノさんで炎真君のスタンドが白蘭さんな話
※スタンドって何だよ!という方には多分意味不明。
※雰囲気自己満小話






「は、ぁ…っ、ツナ君…来ないで…」
「エンマ君!」

綱吉は目を見張った。
床に蹲って震える炎真の背中が、メリメリと音を立てて割れていく。
いや実際に背中が割れているわけではない。そう見えているだけだ。
そしてそこから生えてくる、何か。

「まさか、エンマ君も…」

嫌な予感が綱吉の胸を掠める。
輝きを放ちながら炎真の背中で広がっていくそれは、白い羽根。
しかしその羽根を纏うのは、炎真ではなく。

「エンマ君も、『スタンド』が使えるの…?」

いつのまにか炎真の後ろに現れて、静かに佇んでいる白い人影。
炎真の背中から生まれた、白い両翼を纏う者。
けれどそれは決して、人ではない。
それは炎真の『魂』が具現化したもの。もう一人の炎真。
その存在を知る者は、それを『スタンド』と呼んでいた。

「ディーノさん!」

綱吉も叫び、己の『スタンド』を出した。
綱吉の声に呼ばれたように背後に現れた、一人の男。
ソレは綱吉の憧れの姿でもある、金色の髪をした美しい男の形をしている。
もう一人の自分でもあるソレを、さん付けして呼ぶなんておかしいと言われるけれど、憧れの象徴でもあるそれを、綱吉はどうしても敬意を払ってさん付けで呼んでしまった。
ディーノと呼ばれた綱吉のスタンドは、得物である鞭を構えると、今度は綱吉を守るように目の前に真っ直ぐ立った。
もう一人の自分と言えど、このディーノは不思議なことに、綱吉の意思とは別の自我を持っている。
綱吉を守るという、強い自我。

「ディーノさん、気を付けて」

すごく、嫌な予感がした。
蹲って動かなくなってしまった炎真の背後から感じる、禍々しく邪悪なオーラ。
腹が泡立って、呼吸が荒くなっていく。

「…は…ツナ、君っ、ごめん…逃げて…僕はもう…僕を制御出来ない…っ!」
「ダメだエンマ君!それに飲まれちゃダメだっ!」

最後の力を振り絞って、炎真が声を荒げた。
けれどその直後、炎真の白い影が、綱吉の声を阻むようにその羽根で炎真の目と耳を塞いでしまう。
炎真に、もう光が届くことがないように。

「お前っ、エンマ君から離れろ!」

綱吉の心に反応して、ディーノが炎真の影に向かって鞭を奮う。
目にも見えぬスピードで踊り出す、輝く鞭。
炎真を覆う白い影を、破壊するが如く。
しかしディーノの鞭は、白い影に当たるどころか掠りもしなかった。
ディーノの鞭でその影を拘束して炎真から引き離そうと思っていたのに、出来ない。
それがどうしてなのか、理解出来ない。


『僕には何も効かないよ』


呆然とする綱吉の脳内に響いてくる、明るい声。
炎真の白い影の唇が、薄く笑みを作っていた。

『僕はこの時をずっと待ってたんだよ。この心が衰弱して、僕が全てを支配出来る瞬間を!』

白い羽根が、大きく広がっていく。
ハッキリと姿を現した炎真の影も、美しい男の形をしていた。
けれど白い羽根を纏った真っ白なその姿を、天使などとは到底表せない。
紫色の瞳は冷たく、底が見えない程に澱んでいた。
負のオーラが満ち溢れていく。

『僕の名を教えておいてあげようか?』

男の腕の中の炎真は、まだ意識を取り戻さない。
綱吉とディーノはただ静かに、炎真の影の声を聞いた。

『白蘭』
「ビャク、ラン?」
『新世界の神の名だよ。覚えておくといい』
「っ!?」

不穏な台詞を聞いた。
咄嗟に、ディーノが鞭を手にして身構える。

『アハハ。変なこと考えないでね?下手なことしたら、この子植物にしちゃうよ?僕はこの子が生きてさえいれば、意識なんてなくても自由に動けるんだ』

綱吉とディーノは、そのまま硬直することしか出来なかった。
白蘭の手に、脅されている。
炎真の首を今にも締めあげようとする、白蘭の指。
苦しげに眉根をひそめ、小さく呻く炎真の声。
己を脅かすスタンドなど聞いたことがない。でも今確かに、白蘭は炎真を脅かそうとしている。
これが悪意の塊で出来ているのだと、綱吉が確信する。

『まぁこんなことしなくても、君達なんてどうにでもなるんだけどね。ただ、面倒ごとは嫌いなんだ♪』

楽しげに笑う白蘭の目の下に、紫色の三つ爪の痣が現れる。
それは、本体である炎真の目の下にも。
炎真が侵されていくことにこれ以上我慢しきれず、綱吉は炎真を白蘭の腕の中から助け出そうとディーノの鞭を奮ったが、それはやっぱりまた空で虚しく踊るだけだった。

『だから何しても無駄だって言ってんの。理解力乏しいなぁ。僕の能力、教えてあげようか?』

白蘭が高らかに声を上げて笑いながら、羽根を羽ばたかせる。

『僕は全てのパラレルワールドの情報を瞬時に手に入れ、処理する』
「パラレル、ワールド?」
『僕はこの世に存在する全ての事象に、対応出来るんだよ』

言っていることが、理解出来ない。
そんな常軌を逸した能力を持っているスタンドなど、聞いたことがない。
いや、そんな能力など、存在していいはずがない。
だってそれでは、無敵ではないか。

「…だからね、ツナ君。僕にはどんな攻撃も通用しないんだ。全ての『もしも』が、僕に味方する」
「エンマ、君?」

意識を失ったはずの、炎真の声がする。
信じがたい現実に、綱吉の声が掠れて震える。


『こんな世界なんていらない。こんな僕もいらない。…新しい世界に行きたい』

意識を失っている最中、炎真は思い出していた。
自分の本当の願いを、想いを。
綱吉には隠してきた、ドス黒く澱んだ心を。

『それなら君を僕にちょうだいよ。素晴らしい新世界を見せてあげる♪』

それは拠り所を探していた最悪な悪意の塊を呼び起こし、引き寄せた。
炎真の心の澱みは、魂は、そのまま白蘭を受け入れた。

『ディーノさん。オレの全てを理解してくれるのは、ディーノさんだけなんです』

炎真は思い出す。
綱吉の本当の心を知って。
自分が綱吉にとっての一番の存在ではなかったのだと知って。
深くひどく傷ついた、己の心を。
その心の隙間を埋めるように、白蘭は炎真に溶け込んだ。

そして最後に炎真が思い出したのは。
この能力が、自分の味方であるということだった。

「ツナ君」
「っ!!」

炎真に一瞬で距離を詰められ、綱吉が息を飲む。
動けなかった。
それどころが立っていることすら叶わず、膝をついた部分がズシンと沈み、そこからビシビシと地面が割れていく。
まるで自分が、ひどく重い錘になってしまったみたいだ。

「ディーノ、さんっ」

ディーノも綱吉を守るように綱吉をその身で覆って、苦しげに表情を歪めている。
スタンドであるディーノごと攻撃してくるこれは、『スタンド』の攻撃に違いなかった。

『ハハ、これが君自身の能力か。使えるじゃん♪』

白蘭が上機嫌に笑う。
炎真が本来持っていた能力、『重力操作』を更にその身に身に付けて。

「ねぇツナ君…僕、こんなに強くなっちゃったよ?ツナ君なんてもうそこら辺を歩いてる虫ケラみたいだよ」
「ぐ、…っ」

どんどん重力をかけられ、体が重く地面に沈んでいく。
炎真に触れられた顔だけが軽くなり、そっと、上げさせられた。
けれど綱吉は、必死に炎真を睨み付けた。
こんなの、自分の知る炎真じゃない。
信じられなくて。炎真の本当の気持ちに気付くことが出来なくて。
綱吉は炎真を睨むことしか出来なかった。

(なんだ…?)

そして白蘭も気付くことが出来なかった。
今自分が、涙を流していることに。
炎真の心と同調して、涙が溢れてくる。止められない。

(心に深く入りすぎた?ありえない!まずい、この感情は…っ)

悲しい。悲しい。悲しい。
綱吉にこんな風に睨まれて悲しい。
白蘭と炎真の瞳の色が混ざって、境界線を失っていく。
深い赤紫が、涙で潤む。
逃れようと退いた白蘭の体は逆に炎真に強く掴まれて、同調させられていく。

『沢田、綱、吉…っ』

有りえない感情に、白蘭も綱吉を睨み返して頭を掻き毟った。
心が同調してしまった。もう戻れない。
悲しくてたまらなくて、泣いている。
さっきまで何とも思わなかった虫けらのような少年が、今はこんなにも。
愛おしくて、憎くてたまらない。


けれど2人は、新世界の扉が開く音を、確かに聞いていた。


「ツナ君」

涙を拭って、炎真はじっと綱吉の瞳を見つめた。
綱吉の息が詰まる。
底のない濃い赤紫色の世界に吸い込まれて、囚われる。
潜んでいた白蘭に魂を掴まれて、引きずり出される。
ディーノの姿が、消えていく。
白蘭は綱吉の左の頬を撫で、炎真は綱吉の右の頬を撫で、二人は同じように微笑んだ。


『「魂ごと。全部。早く、僕にちょうだい」』


最初からこの場所に新世界があったのだと、やっと気が付いた。










つまり白蘭さんは炎真君に逆に取り込まれちゃった話。
一応言っておきたいのですが、実際のスタンドはこんな風じゃないです。

しかし重力操作ってそれだけで充分に強すぎるよね。
この後多分ディーノさんに新能力が芽生えてなんか強くなったりするに違いない!じゃないとツナちゃんに全く勝ち目がない!

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