お題

□少し嬉しいありがた迷惑
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『明日、駅前13時集合!!』


昨日突然届いたメール。
バレンタインに告白し、晴れて恋人同士になったものの、お互いに忙しくなかなか一緒に過ごすことが出来なかった。
だから、この突然のお誘いメールも嬉しくないわけがない。
どこに行くのか、何をするのか全くわからないままだけれど。

待ち合わせ場所には時間ぴったりについた。
雄二郎が早く来ることなんてないから、時間通りに行く。

でもいつもより少しだけお洒落をして、いつもより少しだけ緊張している私がいる。


「なまえ!待った?」

「待った!」


ごめんごめん、と笑いながら雄二郎は後ろ手に隠していたものを目の前に差し出した。


「はい、これ」

「……ぅええ!?なにこれ!」

「なにって……花束?」


そうだね、わかってる。

こんなとこで突然花束を差し出されたから驚いたの。
それもこんな、両手で抱える程の大きさの。


「どうしたの?これ」

「なまえの為に買ってきたの!女の子は花貰うと嬉しいんだろ?」

「いや…まぁ、嬉しいけど…」


確かに、お花貰ったら嬉しいよ?
でも、これから出掛けますって時に…こんな大きな花束貰っても…。


「ホワイトデーのお返し!何がいいかわかんなくてさー」

「それでこれ?」

「この後ちゃんとしたの渡すから、一緒に探しに行こうぜ」

「あー……うん、」

「なんだよ?」


ダメだ、こいつ本気でわかってない。


「いや、これ持って出掛けるのかな…と思って」

「…………あ」


しまったー!と嘆く姿に呆れつつも、いつまでも変わらない雄二郎に安心する。
結局、そんなとこも好きだから憎めないんだよなぁ。


「なまえごめん…」

「うん、いいよ」

「あー、とりあえずその花どっかに置いて…」

「ねぇ雄二郎?」

「ん?」

「ホワイトデーのお返し、物じゃなくてもいい?」

「いいけど…なに?」


不思議そうな顔をした雄二郎の手を引いて歩き出す。


「お花を置きに家に帰って、」

「なまえの家?」

「そう、そんでそのまま家でDVDでも見よ」

「え、いいの?」

「うん、二人でいる時間をちょうだい」

「……そんなの、いくらでもあげるよ」


繋いだ手を強く引っ張られ、雄二郎の腕の中に収まる。

そのまま口づけられそうになり、慌てて体を離す。


「後にして!」

「部屋でいっぱいイチャイチャしようなー!」


やっぱり雄二郎が大好きだ。



少し嬉しいありがた迷惑







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