お題

□ハートチョコの作り方
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バレンタインに渡すチョコを選びに来たものの、売り場の前で悩みに悩む。

渡す相手は大学時代からの友達である雄二郎。
気の合う友達として過ごして来たけど、実はずっと好きだった。

そのうち、そのうち…と言っている間に微妙な関係のまま時間が過ぎてしまっていた。

今年こそは!と、この告白しやすいイベントに合わせて、気持ちを伝えようと決めた。
そうしてチョコを買いに来たのだが。


「なんでこんなに種類があるの…」


毎年のことなのでわかっていたのに、選ぶ時の気持ちが違うだけでこんなにも迷う。

有名店の高級チョコ、は気合い入りすぎな気もするし。

いつもと同じ普通のチョコ、はなんかちょっと違う気がするし。

手作りチョコ、は断られた時のダメージが大きすぎるし。


「はー……、また来よう」


結局決められず、一度帰ってから考えようとお店を出る。
あ、でももう一軒くらい見に行こうかな、と考えていた所で声を掛けられた。


「なまえ?」

「…雄二郎…」


いつもならこんなとこで偶然会えたら嬉しいけど、今はちょっと会いたくなかった。


「こんなとこで何してんだよ」

「あー、うん、ちょっと」

「……あ、もしかしてチョコ買いに来たとか?」

「まぁ…うん、そんなとこ」


ちょうどチョコ売り場から出た所だったからか、すぐに気付かれた。
こういうとこは無駄に鋭いんだから。


「なまえなまえ、俺のは?俺の買った?」

「まだだけど…あげるとは限らないでしょ」

「だってなまえいつもくれるじゃん」


楽しみにしてるんだぜー、と背中を叩かれて嬉しくなってしまう。


「よし、じゃあ行こう」

「え?は?どこに?」

「どこって、チョコ買いに行くんだろ」


私の腕を引っ張ってチョコレート売り場に向かう雄二郎。


「自分がもらうのを自分で選ぶの?」

「うん!」

「なにそれ…」

「やっぱあれだよな!ハート型だとテンション上がるよな!」


あんなに悩んだ私がバカみたいにそんなことを言ってのける。
これはちょっと期待をして、頑張ってみてもいいのだろうか。



ハートチョコの作り方





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