お題

□きっと明日も、
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幸司さんの家に泊まった翌日は、起きてから自分の体をチェックする。

何のかというと、


「あ、あった…」


今日はすぐに見つかったからよかった。
右の二の腕にある鬱血の痕。

幸司さんはいつも私が寝ている間に一ヶ所だけ痕を残す。
そうこうしている間に幸司さんがベッドに戻って来た。


「起きた?」

「おはようございます」

「おはよう」


ベッドに座り頭を撫でられる。


「今日は見つかった?」


右腕を上げてそこを見せると、ニヤリと笑ってそこに軽く口づけ。


「正解」

「もう…痕つけないでって言ってるじゃないですか」

「そんなに目立たないから大丈夫だよ」

「そういう問題じゃなくてですね…」


幸司さんを見ると、笑いながら体を引き寄せられた。


「なまえが悪い」

「え!なんでですか!」

「どこを見ても美味しそうななまえが悪い」


そう言ってまた右腕を取られ、つけられた痕の上に歯を立てて軽く噛まれた。


「……!」

「本当は食べてしまいたいんだけど、」


そしてそこをべろりと舐められる。


「ん、ちょ…」

「綺麗な肌に歯形をつけるのは、可哀想だし」

「だからって、こんな、痕つけるのも…」

「キスマーク嫌?」

「…っ、嫌って言うか…見られたら恥ずかしいじゃないですか…」

「ちゃんといつも見えない所につけてるだろ?」


こことか…、と言いながらお腹や太ももを撫でられて、擽ったさに身を捩る。


「でもやっぱり恥ずかしいです…」

「ふーん……じゃあ、」


ぎゅうっと抱き込まれ、耳元で話し掛けられる。


「俺にもつけていいよ」


さぁどうぞ、と首を寄せて来られて戸惑ってしまう。


「…っ、遠慮しておきます」

「なんだ、いいの?俺はこれからもつけるけど」

「え、や、それは…」

「だって嫌じゃないんだろ?」


言葉に詰まってしまうと、またニヤリと笑われる。


確かに見られたら恥ずかしいけれど、痕をつけられるのはちょっと嬉しかったりする。
そんなこともきっと見抜かれてるだろうし、もう何を言ってもこの人には勝てない。

これからも泊まった翌日はどこかしらに痕を残されるだろう。
諦めながらも少しの反抗のつもりで、幸司さんの首筋に口を寄せた。





きっと明日も、きみにイタズラ





「上手く出来た?」

「や、うーん…微妙…」


綺麗に出来ないな、と思いながら自分でつけた痕を撫でる。


「………なまえ、昨日何着て来たっけ…」


急にぶつぶつ言いながら、昨夜ベッドの下に落とされた私の服を探る幸司さん。
昨日はワンピースで中にタートルネックの……、


「よし、」

「…え、なにが……」

「お手本見せてやる」


そして抵抗する間もなく首筋に顔を埋められた。





ひよこ屋


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