お題

□無意識にこの手は、
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週末、いつものように雄二郎の部屋に遊びに来た。
今日は飲み会があると言っていたので、勝手に上がりこむ。

どうせ遅くなるだろうと思い、先にお風呂を借りて部屋に置きっぱなしの部屋着に着替えて帰りを待つ。
しばらくテレビを見ながら待っていたけど、だんだん眠くなってきて……。


気持ち良い微睡みの中で、何か足に違和感を感じ目を開けた。


「………雄二郎?」


ソファで横になっていた私の足下には、アルコールの為か顔をほんのりと赤くした雄二郎がいた。


「あ、起きた」

「……おかえり」

「ただいまー!」


また今日も飲み過ぎたのか随分とご機嫌な様子。


「で、何してんの?」

「なまえちゃんにお土産買って来たから渡そうと思って」

「…ありがとう…でもなんでこの格好…?」

「んふふー」


じゃーん!と言って目の前に差し出されたものを見て時が止まる。

無反応の私に痺れを切らしたのか「なんと!ニーソでーす!」とはしゃぐ雄二郎。


「いや、知ってるけど、それがどうしたの…?」

「だからお土産だって!なまえに似合うと思って」


言いながらソファに乗り上げて来て私の足を持ち上げたため、上体が深く沈んでしまい身動きが取れなくなる。


「いやいや、百歩譲ってお土産はわかるとしてなんでこうなった!」

「え?履かせてあげるー」


言いながらも真新しいニーソをするりと左足に通す。
なんで部屋着をショートパンツにしてしまったのかと後悔してももう遅い。
あっという間に右足も履かされてしまった。

満足気に笑った雄二郎は太ももの素足の部分を撫ではじめる。


「や…やだ、ちょ、やめてよ」

「ねぇねぇなまえ?ここのとこ何て言うか知ってる?」

「…っ、し、知らない!」

「ふぅん…」


知ってるけど答えたくない。
だけどその答えには不満だったらしく、ムッと顔をしかめる雄二郎。

ぐっと身を乗り出して私の顔の横に手を付き、耳元に口を寄せてきた。


「絶対領域、って言うんだよ」


ちゅ、と耳に口づけニヤリと笑う。
そしてまた足下に戻るかと思いきや、今度はあろうことか太ももに口づけ始めた。


「ひゃっ…!ちょっとホントにやめ…、もう!酔っ払い!」

「…酔ってません」

「酔ってる人はそう言…っん、」

「なまえちゃんかわいー…」


もうこのまま流されてしまう……と、半分諦めた時、突然雄二郎の動きが止まる。
不思議に思って呼び掛けてみても無反応。
まさかと思い、何とか体を起こして顔を覗くと、案の定眠ってしまっていた。


「……ちょっと…」


足を抱えられてしまっているため身動きが取れない。
蹴飛ばしてやろうかと思ったが、あまりにも幸せそうな顔をしているので出来なくなってしまった。

明日起きた時には覚えてないんだろうな、と思いながら私もそのまま眠りについた。




無意識にこの手は、きみにイタズラ





「んぅ……」

「おはよう」

「んー、おはよ…う?え?なにこの状況…」

「うん、全部君の仕業だよ…色々とね」

「え………」

「(やっぱり覚えてない)もういいからどいてくれる?」

「何!?何したの俺!覚えてない!もう一回させて!!」


お願いします!!と必死な姿を見て、意識があってもなくても雄二郎は雄二郎だと思った。





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