お題

□おはようの代わりに、
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太陽の光で目が覚め、ぼーっとした頭で考える。

いつもと違う天井。
いつもと違うベッド。
いつもと違う匂い。

でもそのどれもが大好きで、とても心地よく感じる。そんな幸せを感じながら、もう一眠りしようと寝返りをうったところで気付く。


「………あれ?」


眠る前までは確かに隣にいた吉久さんが、いない。
手を伸ばしてみるとそこにはぬくもりもなく、ずいぶん前から不在だったことがわかる。

時計を見ればもうお昼前。
起きるなら一緒に起こしてくれればいいのに。
少し不満に思いつつ自分も体を起こし、その辺に落ちているはずの服を探す……が、見当たらない。
散々探してから、ふと、枕元にワイシャツが畳んで置いてあることに気付いた。

手に取り、確認しなくてもわかるが、広げて見ればやはり吉久さんの物だった。


「…………」


これは、着ろということなのか?

他に着るものがないので仕方なく袖を通すが、もちろんサイズが合わない。
そしてこれが所謂、彼シャツというものだろうか。

ちょっとこれは……恥ずかしい。

というかあの人は普段ワイシャツなんて着ないのに、わざわざこのために出してきたのだろうか…。

恥ずかしいけれど部屋を出ないと何も始まらないので、そっと扉を開けて様子を窺うとソファで新聞を読む後ろ姿が見えた。


「………あの、吉久さん…?」


くるりと首をこちらに向け、少し目を見開いた後、それはそれは嬉しそうに笑って手招きをした。


「起きたのか、なまえ」

「あの、これは一体どういう……」

「んー?」


私を正面に立たせ両手を掴んで揺らしながら、くすくすと笑う。


「男のロマン?」

「……なんですか、それ…」


はぁ、とため息を吐くも気にしない様子で。

そのまま両手を引かれて吉久さんの膝の上に横向きに座らされる。


「っわわ!重いですから…!」

「全然、なまえ軽いよ」


相変わらず笑顔のまま、腰に手を回してくる。


「……そんなにいいですか?」

「なにが?」

「その、男のロマン…?」

「ああ、ちょっとした冗談のつもりだったんだが、なまえ似合うなぁ」



そうしてぎゅっと抱き寄せられる。
なんか、そんなに喜んでもらえると…悪い気はしないかも………って、ん?


「ちょちょちょ、吉久さん!?どこ触って…!」


いつの間にか下に降りた手にするすると脚を撫でられる。
耳元で「なまえ…、」と囁きながら、ちゅ、ちゅと口づけされたら堪らない。


「…っんゃ……吉久さ、ん…」


そして横抱きの格好のまま立ち上がると、先ほどまでいた寝室に戻りベッドに寝かされた。
そのままワイシャツを脱がしてくるから、慌てて止めようとする。


「よ、吉久さん!男のロマンはどうするんですか…!」

「着せた服を脱がせるのも男のロマンだ」


顔を上げニヤリと笑う顔を見たらもう、諦めるしかなかった。



おはようの代わりに、きみにイタズラ





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